健康診断、受けっぱなしではもったいない
結果には健康寿命を延ばすヒントがいっぱい

生死に関わるがん検診に比べると、血液検査や尿検査などは軽視しがちではないだろうか。生活習慣病を予防するための大切な検査の意味を知り、健康維持に役立てよう。

検査結果は数年の推移と関連項目をチェックする

「定期健康診断」とは血液検査や尿検査、血圧測定といった一般的な検査で、企業に義務付けられているもの。一方、「人間ドック」とは個人の意思で受診できるもので、定期健診の項目に加えて、より多くの臓器を対象とした検査が用意されている。

「人間ドックは1度に全身をチェックできるのがメリット。医師や保健師、管理栄養士といった医療スタッフとの関わりが多く、必要な検査を相談したり、食事指導を受けたりと予防や健康管理に役立てやすい」と三井記念病院総合健診センターセンター長の石坂裕子さんは話す。

いずれも「受けっぱなし」にしないことが大切。異常がないからと、結果をろくに見ずに同じ生活を続けていたら、受診した意味がなくなる。血液検査、尿検査、血圧・体重などの数値はしっかりとチェックしたい。

「大切なのは再検査の項目を放置しないこと。さらに、基準値内だとしても、直近数年の推移と関連項目を併せて見ること。例えば、体重が増えたなら、中性脂肪やLDLコレステロールなどの値もチェック。値が上がっていれば、さらに体重が増えたときに異常値になることが予想できます。医師は数値の推移と項目の組み合わせ、年齢家族歴などからリスクを総合的に読み取ります」

血液検査結果表の見方を解説してもらった。40代女性が気をつけたいのは、ヘモグロビンと血圧、脂質、血糖値だ。

「LDLコレステロールが上がったら肉の脂身、乳製品、洋菓子などの食べすぎに注意を。中性脂肪が上がったら糖質を、血圧が上がったら塩分を控えめに。微妙な数値の変化に気づくことができれば、食事の改善や運動で、変化が見られるはず。結果は必ず確認して、予防に役立てましょう」

「特定健診」とは?
40歳以上75歳未満の人を対象に行う健診を、特定健康診査(特定健診)と呼ぶ。腹囲の測定などが必須となり、メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)に特化した検査内容になっているのが特徴。特定健診の結果、生活習慣病の発症リスクが高く、予防効果が期待できる人には、リスクに応じた保健指導(特定保健指導)が実施される。

注目すべきはこの項目!【血液検査結果表の見方】

46歳ライターNの血液検査結果を公開

 

教えてくれた人
石坂裕子(いしざか・ゆうこ)
三井記念病院総合健診センターセンター長
医学博士。日本内科学会認定総合内科専門医。日本循環器学会認定循環器専門医。日本人間ドック学会認定人間ドック健診専門医・指導医。日本医師会認定産業医。