家計簿アプリのメリット3点
家計簿アプリの良いところはいろいろありますが、私は次の3点だと思います。
(2)項目の自動分類
(3)結果の一覧性
家計簿アプリを使っている人はわかると思いますが、決済手段と連携されるのはとても便利です。銀行口座をはじめ、クレジットカード、電子マネー、そしてQRコード決済などの各種キャッシュレス決済のほとんどがアカウントアグリゲーションで集約されますから、何もしなくても自動的に記載されます。これなら現金の管理だけすればいいのです。しかも最近はキャッシュレスが進んでいることで私自身もほとんど現金を使うことがなくなりました。それに現金でもレシートを撮影するというひと手間さえかければ自動で入力されますから、それほど面倒というわけではありません。これはとても便利です。
コンビニでの無駄づかいがズラーっと表示される
ふたつめは項目が自動的に分類されることです。これによって自分の支出の傾向が見えてきますから、どこに無駄があるのかがわかりやすくなります。さらに効果が高いのが(3)の「結果の一覧性」です。実際に使った内容が一覧となって出てくるので、例えば毎日会社の帰りにコンビニによってペットボトルのお茶とかスイーツを買っていると、それが毎日ズラーっと出てくるわけです。これは結構インパクトがあります。“毎日、何となく使っていた件数がこんなに多かったのか!”、ということが一目瞭然となるからです。
先日、テレビに出演した際、番組の取材で、ある企業に勤めるサラリーマンの人が家計簿アプリを使い始めて、支出が毎月2万~3万円減ったと話していました。この理由は「結果の一覧性」によって毎日、100円とか150円というコンビニでの支出が延々と続くことが可視化できたためで、その結果ついコンビニに立ち寄るという習慣をやめたことで支出が減ったからだそうです。もちろんコンビニでの買い物だけではなく、それ以外にも気づいていなかった無駄な支出があったことは言うまでもないでしょう。
月3万円の無駄づかいを積立投資に回せば985万円に
仮にそうやって減った3万円を例えばつみたてNISAのような積立投資に回すと年3%で運用できた場合、10年間で約420万円、利用できる期間である20年間積み立てを続けると約985万円になります。40歳で始めても定年の60歳時点では1000万円近い金額ですから、家計簿アプリで無駄なコンビニでの買い物をやめることで、ちょっとした退職金ぐらいの金額になってしまうのです。
入ってくる収入が決まっている会社勤めのビジネスパーソンにとっては、支出を可視化して適正化することこそが重要なのではないでしょうか。
大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。