政治家を女性のキャリアの1つの選択肢に

一方で、政治家になるという選択肢は、多くの人にとってまだまだ遠い。

議会で答弁する森澤さん。
議会で質問する森澤さん。(写真=本人提供)

「民間企業で働く大多数の人から見たら、政治家は遠い存在でしょう。言葉づかいから違いますし、政治の世界をよく知る元議員秘書や元官僚がなるものだと考えがちです。でも、新しい政治に必要なのは民間の感覚で、社会課題の解決方法は企業など民間がもっている場合も多い。価値観が多様化し、変化のスピードが速い社会において、政治、行政、民間がうまく連携していくことが必要。その橋渡し役になれたらいいですね」

森澤さんは実際に、優秀な女性に出会うと「ぜひ政治の世界で力を発揮してくださいよ」と誘うそうだ。しかし、その誘いに応じる人はなかなかいない。「いやいや、私は民間で頑張りますから」と断られてしまう。

「もともと私自身はどうしても政治家になることを目標としてきたわけじゃありませんし、民間出身でチャレンジする女性が増えたらサポート役にまわっていいぐらいです。政治家は遠い存在ではなく、キャリアプランのうえでの選択肢の1つとされる世の中になってほしいと願っています」

森澤さんは、大学生のインターンシップも受け入れている。そのような橋渡し役をつづける先に、新しい政治が実現すればと心に秘めながら。

文=伊田欣司

森澤 恭子(もりさわ・きょうこ)
東京都議会議員

1978年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。日本テレビ、森ビル、リブなどベンチャーから大企業まで民間で活躍。2017年東京都議会議員選挙(品川区)でトップ当選。2021年、無所属で再選。