仕事の成果と「婚活リップ」

女性向けメディアには、男性の都合のいい存在になる方法が書かれ、男性向けメディアには、女性を好き放題に扱っていいと書かれている。両方の言い分をまとめると、女性は自分を守る術もなく男性にどんなに嫌なことをされてもニコニコして受け入れる生き方しかできなくなってしまいます。でもそのリスクに気づくことはなく、恋愛とはそういうものだと受け入れました。男性向けメディアのいう痛い女やBBAを笑いながら、女性向けメディアのいう愛される女を目指しました。

20代後半にもなると仕事の面では、次第にこれまでの努力が実り始めました。競合プレゼンに勝ったり、賞をもらったり、少しずつ自分がしたい仕事に近づいているような気がしました。

でも仕事で大きな成果を上げて祝福された日も、私の胸の中はヒリヒリとしていました。「どうしよう、こんなに成功したら、生意気な怖いモテない産業廃棄物になってしまう!」

受賞のお祝いに同期からもらったプレゼントは当時流行していた「婚活リップ」でした。「仕事がうまく行ったら、次は彼氏だね」

婚活リップは薄いピンクで唇が程よく色づいて見え、男性から好ましく思われる効果があるのだそうです。私が「彼氏ほしい」と連呼していたので、別々の人から合計で2本も婚活リップをもらいました。

貯金額に絶句される

将来のことを考えると、結婚するにせよ独身でいるにせよ、お金は貯めておいた方がよさそうでした。人生無計画な私もさすがに心配になって、本格的に貯金をしようと思い立ちました。久しぶりに昼休みに郵便局に行き、定期貯金の手続きをしました。窓口で応対してくれたのは同じ20代くらいの女性でした。通帳を見せて「定期貯金にしてください」とお願いすると女性の表情がさっと曇りました。

「なんでこんなに貯金があるんですか?」

私は気まずさを取り繕うように言いました。

「それは、お給料の半分は使わないようにしてるんですよ~」

「私と同じ年齢なのに……なんで……」

彼女は席を外し、なぜか代わりに男性担当者が来て、保険商品の勧誘をはじめました。貯金の代わりに保険に入れば、利息がもっともらえるという話でしたが、まったく頭に入ってきませんでした。

同世代の女性が自分と同程度のお給料をもらえているとはさすがに思っていませんでしたが、それでも、私よりちょっと少ないくらいかなとは思っていました。まさかショックを受けられるほどの差があるとは。郵便局は安定した仕事だろうし、きっとお給料も安定してるはずなのに、本当はそうじゃないのかな? それに男性から見たら彼女のような人の方が男性から愛されるのだろうと思いました。「女は男に貢がせてなんぼ」なんでしょ? そういう生き方を選んだのは彼女自身なんでしょ? 自分でその道を選んだのだから、自己責任だよね。