食生活を見直すことが老化対策には重要

生活環境の中で、老化に大きく関わるのは食生活です。これは年齢によって考え方を変える必要があります。50歳ぐらいまではカロリー制限をしたほうが疾患リスクは下がりますので、食事量を満腹になる量から2〜3割減らすよう心がけましょう。ところが85歳以上になると女性の約35%が低栄養になります。加齢とともに消化機能が低下し、量も食べられなくなるので、50代、60代になったら、栄養バランスを考えながらも、好きなだけ食べたほうがいい。50代を過ぎてからのカロリー制限は悪影響のほうが大きく、痩せているよりも小太りぐらいがベストです。特に50代以上でBMIが20以下の人は注意しましょう。

老化スピードを緩める3つのポイント

またビタミンCの摂取も推奨しています。厚生労働省がすすめる1日に必要な摂取量は100mgですが、2.5mgしか摂取していない人は3年後に10人に1人、13年後には半分の5人が老衰で死亡するという研究結果があります。ビタミンCはコラーゲン生成にも寄与していて、不足すると骨が弱くなったり、ストレス耐性が低くなることもわかっています。老化スピードを緩めるなら1日1000mgを目安に摂取するといいでしょう。

年齢にかかわらず取り入れたいのは運動です。激しい運動をする必要はありません。散歩など軽い運動で構わないので、ぜひ日常的に行うようにしましょう。

現在、最長寿命は約120歳といわれています。つまり60歳になっても、倍の年齢を生きなくてはいけないということ。健康寿命を延ばすためには、将来を見据え、早いうちからの老化予防が大切なのです。

構成=林田順子 イラスト=大山奈歩

石神 昭人(いしがみ・あきひと)
東京都健康長寿医療センター研究所

生理機能の低下を制御し、老化速度を遅らせるための研究を行う老化制御研究チームで研究部長を務め、メディアへの出演や講演も数多く行う。著書に『ビタミンCの事典』(東京堂出版)など。