離婚を切り出すのは7割が女性
熟年離婚は、当事者にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
離婚はそのプロセスを進めていく中で大きなストレスが伴います。手続きが完了し、離婚が成立した後でもさまざまな問題に直面します。
女性が直面する問題の中で大きなものは、「お金」です。離婚後の生活を賄える収入の有無が重要なポイントになってきます。熟年離婚という性質上、年齢も中高年となるため、十分な就労機会が得られない恐れもあります。
これに対して、子どもについては既に独り立ちする年齢の場合が多いため、離婚後の生活を支援してくれることも考えられます。ここが若年時の離婚とは大きな違いです。
また、一般的に離婚はその7割近くが女性から切り出され(※1)、熟年離婚もそれに近い状況だと予想されます。熟年離婚を切り出した女性は、長年の不満を解消する方法として離婚を選択している可能性が高く、これは女性の心身にプラスの効果をもたらすでしょう。
ちなみに、このような問題のある結婚から離れ、心身の状態が向上する効果を「エスケープ(逃亡)効果」と呼んでいます(※2)。
※1 最高裁判所『司法統計年報』。
※2 Kalmijn, M., & Monden, C. W. S. (2006). Are the negative effects of divorce on well-being dependent on marital quality? Journal of Marriage and Family, 68, 1197-1213.
男性は生活面の課題に直面
さて、男性についてはお金よりもその後の生活面で問題が出てきます。中高年になってから改めて生活全般を自分で行うことになるわけですが、離婚を切り出されたショックから生活が荒れ、飲酒量も増えることが考えられます。
以上から明らかなとおり、熟年離婚によって直面する問題は男女よって異なります。特に女性では、プラスとマイナスの両方の効果がありそうです。これを反映して、熟年離婚の影響も男女によって違ってくる可能性が考えられます。
はたして実態はどうなっているのでしょうか。