離婚3年後でも男性のメンタルヘルスは悪化したまま
図表1は熟年離婚1年前を基準にして、その後の各時点のメンタルヘルスの変化を示したものです。メンタルヘルスの計測にはK6という代表的な指標を使用しています。
この図表の見方はシンプルです。値が0よりも小さければメンタルヘルスが悪化し、逆に値が0よりも大きければメンタルヘルスが改善していることを意味します。
図表1の結果が示すように、熟年離婚を経験した3年後でも、男性のメンタルヘルスは悪化し続けたままです。
これに対して女性の場合、離婚を経験した年にはメンタルヘルスが悪化するものの、その後急速に改善していきます。
このように、男女において熟年離婚の影響は対照的です。男性では熟年離婚のショックが続く半面、女性ではそのショックは一時的であり、すぐにメンタルヘルスの向上がみられるわけです。
ちなみに図表1の結果は、離婚直前の夫婦の学歴、就業状態、子どもの数、貯蓄・借入額等の影響を統計的に除去しても変わりません。
熟年離婚の後、男性は社会との関わりが減少
女性のメンタルヘルスが改善する背景には、やはり長年の懸案事項であった結婚生活から解放され、ストレスが減少することが影響していると考えられます。お金の問題は付きまとうでしょうが、それ以上に結婚からの解放の効果が大きい可能性が高いと言えるでしょう。
これに対して男性のメンタルヘルスが悪化する背景には、離婚を言い渡されたショックもさることながら、離婚後に社会との関わりや健康維持の活動が減少することも影響していると考えられます。