実は海外でも熟年離婚は増えている

日本で増加する熟年離婚ですが、実は海外、特にアメリカでも増加の傾向が確認されています(なお、アメリカでの熟年離婚とは主に中高年における離婚を念頭に置いており、これまで見てきた日本の事例とはやや定義が異なる点に注意が必要です)。

ボーリンググリーン州立大学のスーザン・ブラウン教授らはアメリカにおける中高年の離婚実態を分析し、1990年から2000年において、50歳以上の中高年の離婚は倍増するだけでなく、2010年に離婚した「4人に1人が50歳以上」となっていることを明らかにしています(※4)

アメリカでも中高年の離婚はすでに無視できない規模になっていると言えるでしょう。

アメリカ以外の先進国でも高齢化は進展しているため、熟年離婚は今後各国で発生する現象になると予想されます。

医療技術の発展によって寿命が延び、「人生100年時代」となった現代において、熟年離婚は必然的に表れた変化だと言えるでしょう。

※4 Brown, S. L. & Lin, L. F. (2012). The gray divorce revolution: rising divorce among middle-aged and older adults, 1990-2010. The Journals of Gerontology Series B Psychological Sciences and Social Sciences, 67(6), 731-741.

佐藤 一磨(さとう・かずま)
拓殖大学政経学部教授

1982年生まれ。慶応義塾大学商学部、同大学院商学研究科博士課程単位取得退学。博士(商学)。専門は労働経済学・家族の経済学。近年の主な研究成果として、(1)Relationship between marital status and body mass index in Japan. Rev Econ Household (2020). (2)Unhappy and Happy Obesity: A Comparative Study on the United States and China. J Happiness Stud 22, 1259–1285 (2021)、(3)Does marriage improve subjective health in Japan?. JER 71, 247–286 (2020)がある。