アメリカと中国の間で日本はどうふるまうか
今回のG7で世界の対立状況は結局、海VS.陸であることがわかったわけですが、不都合なことに日本は陸のスターである中国と貿易をしなければなりません。中国には人権や倫理などの問題があって、アメリカからは中国とビジネスをするのは許さんぞという圧があるとはいえ、現実的には中国とのビジネスの割合は大きいし、まだまだ伸びしろがあります。
ですから今後、日本は「安全はアメリカ」「商売は中国」という間で、股裂き状態になってしまう恐れがあります。というか、まさに今、そういった大きなジレンマに直面していると言えるでしょう。
識者の多くが、日本はアメリカと中国の間をとりもって、うまく立ち回らなくてはいけないと言います。確かにそのとおりですし、それができたら理想ですが、では具体的にどうやってやるのか、どうしたら中国を穏健化させられるのか、その質問には、誰も答えていません。僕自身もその答えは持っていません。
もちろんアメリカと中国は喧嘩をしないようにするべきですが、日本にそれを仲裁する力はありません。アメリカと中国という両横綱の行司になる力が日本にはない。ですから日本は、基本的にその場、その場でやっていくしかないのです。
僕が恐れているのは、あるところまでいくと「お前はどっちを選ぶんだ」とアメリカから詰め寄られて、年貢の納め時がくること。そのときに中国でまだいけるんじゃないかという人がいたり、いや、安全保障が大事だろうという人がいたり、国論が割れてしまうのではないかという懸念があります。
ただ、これは日本側だけの問題ではないので、何ともしようがない。今の日本の外交の無力感といってもいいかもしれません。
われわれ個人としては、政府にうまくやってくれよと頼みつつ、経済的には独立して、いざというときに備えるべきなのでしょうね。
1972年生まれ、横浜市出身。カナダのブリティッシュ・コロンビア大学を卒業。英国レディング大学大学院で修士号(MA)と博士号(PhD)を取得。戦略学博士。多摩大学客員教授、国際地政学研究所上席研究員、拓殖大学大学院非常勤講師。著書に『サクッとわかるビジネス教養 地政学』、『サクッとわかるビジネス教養 新地政学』、訳書に『平和の地政学』(N.スパイクマン著)、『完全版 大国政治の悲劇』(J.ミアシャイマー著)、『中国4.0』(E.ルトワック著)、『デンジャー・ゾーン』(ハル・ブランズ&マイケル・ベックリー著)などがある。