中国もロシアも民主化はできなかった
かつてアメリカは、中国もロシアも民主化できると思っていた時期がありました。冷戦直後、1991年にソ連が崩壊したあとにエリツィン氏が登場し、民主化を進めようとしましたが大失敗。「オリガルヒ」といわれる新興の金持ち階級をつくっただけで、ロシア全体の経済水準は上がったかというと微妙……。そこに誰か強いやつはいないのかといって出てきたのがプーチン氏なんですね。そこから20年以上、ロシアは権威主義の姿勢を保ちつづけています。
中国に対しては2001年、当時のクリントン大統領が頑張って中国をWTO(世界貿易機関)に加盟させました。そして中国市場をオープンにさせたところ、中国は経済をガンガン回すようになり、よかったよかったと思いきや、2008年のリーマン・ショックで欧米の金融がダメになってしまった。アメリカ政府が自動車メーカーにお金を入れて、ほぼ国有化したのを見て、中国は「これまで欧米に追いつけ、追い越せでやってきたけれど、もしかしたらトップになれるかも!」と欧米を見下し始めました。欧米のシステムがドタバタしている間に、中国はうまくやっているぞという雰囲気になってしまったのです。
今回のコロナ対応にしても、実態はわからないものの中国はなんとか封じ込めた。かたやアメリカの死者は60万人と、南北戦争の死者を超えてしまった。それで、ちょっと前までは、アメリカは終わったという感じでした。
中国は上から見ているし、ロシアは一回捨てた権威主義でいくぞとプーチン氏が出てきて、民主主義的なオープンなシステムより、権威主義的なクローズドのシステムでいくほうがいいよねで、現在に至っているわけです。
惜しむらくは、菅総理のファッション
G7の話に戻しましょう。ここでの日本の成果としては、まずまずだったのではないでしょうか。G7の首脳宣言に台湾海峡の平和と安定の重要性を入れて、ヨーロッパの注目をアジアに引き寄せることができたことはよかったと思います。
実務的な面では、まずまずの菅総理でしたが、G7では新参者ということもあってか、写真撮影も後ろにいて、どうも他国の代表と対等という感じではない……。この原因のひとつは服装にあると僕は思うのです。
スーツはサイズに合ったものをオーダーメイドすれば格好よく見えるのに、菅総理のズボンはダボダボだし、ジャケットのサイズも合っていなかった。服装はいちばん簡単にイメージアップできる方法なのに、それを怠ったことに僕は情けなさを感じましたね。そこができれば、もっと自信を持って前に出ていくことができたのでは、と思いましたよ。