年齢が上がるほどPRが重要
ここからわかるように、転職活動で相対的に立場が強くなるのは「需要>供給」になっている職種の人であり、希少なスキルや時期的に需要が高まっているスキルを持っている人。こうした人は年齢や景気の影響も受けにくいのですが、逆にそうでない場合は、この2つの影響をもろに受けてしまいます。
不利な点が年齢だけ、あるいは景気だけならいいのですが、両方が重なるとかなりハードルが高くなってきます。その意味では、転職先がいちばん決まりづらいのは「需要<供給」の職種で、年齢を重ねた人が不況期に転職しようとしているケースだと言えるでしょう。
ですから、転職を考えた時は、まず上記3つの要素における「自分の現在地」を確認してほしいと思います。年齢の段差ではどこにいるか、景気はサイクルのどの地点か、職種の需給バランスはどうか。転職活動を始めるのは、これらを見極めてからでも遅くはありません。
「付帯条件」は何かを考える
この前提のもとで、今回のご相談内容について考えてみましょう。37歳で現時点での状況は不景気ですが、IT業界での経験をお持ちです。転職先は20代の時よりは決まりづらいでしょうが、同じ業界・同じ職種なら需給状況はそれほど悪くないように思えます。
では、年齢の点で不利だとしたら、転職活動で注意すべきポイントは何でしょうか。今は求人広告を見ても、その企業が求める年齢は書かれていません。しかし、これは年齢表現が禁止されているから書かないだけで、企業が胸の内で決めている上限年齢は必ずあると考えたほうがいいでしょう。
ただ、すべての企業が「絶対に35歳以下」などと明確に決めているわけではなく、「35歳以下が望ましいが条件によっては40歳でもいい」という場合も多いのです。例えば、「当社が求めるレベルのマネジメント力があれば多少年齢が高くてもOK」といったことですね。年齢が高くても、その企業が求める付帯条件を満たしていれば、採用される可能性は大いにあるのです。
大事なのは、この「付帯条件」が何かということ。これは求人広告には書かれていないので、文面や企業サイトなどを読み込んで仮説を立ててみるしかありません。仮説を立てた上で「私はこういうことで貴社に貢献できます」とPRすることが大事になってきます。職務経歴書や面接では、ぜひこうしたPRを工夫してみてください。