中途採用市場では、27歳から32歳くらいのリーダークラスは、企業から見ると喉から手が出るほど手に入れたい年代です。転職活動をしていなくても、知り合いや取引先から声がかかることもありますが、転職コンサルタントの黒田真行さんは「需要が多い時期にこそ気を付けないと後悔することになりかねない」と指摘します――。
オフィスで握手
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◆今回のお悩み
新卒で大手メーカーに入社し、9年目になります。現在のポジションはまだマネジャークラスの手前ですが、仕事の流れは一通り理解できるようになり、意義ややりがいも感じるようになってきました。
職場や給与に特に不満はなく、転職も考えていなかったのですが、最近になってベンチャー企業に勤めている知人から「うちに来ないか」と誘われました。ベンチャーには興味がありますし、自分を評価してくれているのだから転職してもいいかなと思い始めています。こうした転職で注意すべき点などありましたら教えてください。(31歳・メーカー勤務)

27~32歳は求人の「プラチナゾーン」

中途採用市場は、転職者は年齢帯によって主に3つのゾーンに分けられます。1つ目は23~26歳ぐらいで、第二新卒として扱われる「若手ゾーン」。2つ目は27~32歳ぐらいの、一通り仕事を覚えた年齢帯で、求人が最も多い「プラチナゾーン」。

そして3つ目が32歳以上の「ミドルゾーン」で、この年齢帯に入ると、1歳年を重ねるごとに徐々に求人が減り、採用されにくくなっていくという特徴があります。

今回は31歳の方のケースということで、プラチナゾーンの転職について考えてみましょう。

一般的に、大卒で企業に入った人は、27歳ぐらいから段々と一人前に近づいてきます。

ここから32歳ぐらいまでの人材は、一通り仕事を覚えていて社会人としての振る舞いが身についている、柔軟性や伸びしろもある、加えて給与もまだそれほど高騰していないために、多くの企業が採用に積極的です。

それゆえ求人数も多く、転職市場のメリットをいちばん享受できる時期と言っていいでしょう。ただ、長いキャリアの中で見ると、27~32歳は、いわゆる若手からようやく「プロの仕事人」に変わり始めたところ。いわばキャリアの第1期にいる段階で、まだその先の2期や3期を知りません。