35歳以上の転職は、20代とどう違うのでしょうか。ミドル世代の転職事情に詳しい黒田真行さんが、市場の構造や採用側の目線を解説。「中堅」になってからの転職活動で、必ず押さえておきたいポイントとは──。
自分だけ椅子がない
写真=iStock.com/alexsl
※写真はイメージです
◆今回のお悩み
中堅ソフトウエアメーカーのサービス企画部に勤務しています。以前は大手メーカーのシステム子会社で働いており、28歳で現在の会社に転職しました。最近、担当していたサービスの撤退が決まり、人員削減もあるようなので2度目の転職を考え始めています。
ただ、今の年齢は37歳で、転職先が前回ほどスムーズに決まらないのではと不安を感じています。転職は35歳を超えると途端に難しくなるという話も聞きますが、実際はどうなのでしょうか。20代での転職と違う点や、注意すべきポイントなどを教えてください。(37歳・ソフトウエアメーカー勤務)

合否に影響する3つの要素

28歳での転職と37歳での転職はどう違うのか。この点にお答えする前に、まずは35歳以上の転職市場がどんな構造になっているのか、そこからお話ししたいと思います。

転職には、大きく分けて次の3つの要素が影響します。1つ目は年齢による転職難易度で、1回目の段差は、35歳前後の地点にあります。具体的には誕生日を迎えて36歳になった瞬間から対象となる求人件数が半分になり、41歳でその半分、46歳ではさらにその半分と、5歳ごとに半減していくと言われています。

2つ目は景気の循環サイクルです。転職希望者の数自体はそれほど景気に左右されませんが、求人数や採用数は好景気時には増加し、不景気になると減少します。好景気と不景気は循環的に繰り返す性質があります。もし転職するなら一般的には好景気の時期のほうが有利ということになります。

3つ目は職種ごとの需給状況。求められるスキルを持った人の数が需要より少なければ売り手市場になりますし、逆に多ければ買い手市場ということになります。現在、売り手市場になっている職種はITやDX(デジタルトランスフォーメーション)系、薬剤師、建設関連の技術者など。これらのスキルを持った人は引く手あまたで、求職者側が優位に企業を選別することができるというパワーバランスになっています。

逆に買い手市場になっているのは一般事務や受付、営業、販売など。これらは需要も多いのですが、供給もまた多い職種です。市場の原理で、候補者がたくさんいると売り手市場にはなりづらく、選ぶ権利は採用側に行ってしまうのです。