相手の言葉をそのまま真似る

そして、一番大切なのが3つ目の「使用する言葉」です。

相手の土俵に合わせる、相手のフォーマットを真似ることは、メールでのやり取りに限らず、会話をする上でも有効です。上司や部下以外でも、夫婦間、飲み会と、シチュエーションを問わず、相手が発する言葉と同じ言葉をあえて使うことで、親近感を生むことができます。

この点に関して私は、コーチングでも多くの方にお伝えするようにしています。

例えば、相手が「転職」のことを「キャリアチェンジ」、「前向き」を「ポジティブ」、「後ろ向き」を「ネガティブ」と言っているなら、すべて相手と同じ言葉に統一します。略語を使わず正式名称にこだわっている人なら、こちらもしっかり正式名称で答える。仮に相手の使っている言葉の意味が、自分が思っているニュアンスと違っていたとしても、そこはぐっとこらえて合わせることが肝心です。

本当に細かな点ですが、こうした積み重ねによって、相手は「この人は話しやすいな。波長が合っているのかな」と友好的な気持ちを抱いてくれるようになります。そして、仲間意識が芽生え始め、次第にあなたの「何かあったときには手を差し伸べてくれる仲間」になってくれるのです。

普段の会話を通して「この人はこういう言葉を使う」という言い回しの癖やパターンを蓄積していき、それを暗記していきましょう。慣れてきたら、パターンを組み合わせて発展させていきます。いつの間にか、「懐に入るのがうまい人」になっているはずです。

銀河(ぎんが)
ASD(自閉症スペクトラム障害)当事者、キャリアアドバイザー

上智大学卒。ASDとADHD(注意欠陥多動性障害)の当事者。ASD優位で空気を読むことが大の苦手。新卒で営業としてキャリアをスタートするも、約1年でうつ病を発症。復職し、発達障害であることの強みを活かして営業成績2位をおさめる。入社満3年を迎えるとともに退社し、会社の同期が設立したCare Earth(株)に誘われて入社。現在ではキャリアアドバイザーとして、キャリアに悩む人たちの転職サポートを行っている。また、キャリアや生活で悩む発達障害の人へのアドバイスなどを中心に、コーチングも行っている。