※本稿は、前田晃平『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!』(光文社)の一部を再編集したものです。
子育ては自己責任なのか
出産費用について強い問題意識を持った私は、早速noteで記事を書きました。「出産費用が高すぎる!」と。「ほんとこれな!」とか「早くなんとかしないと!」といったような共感の声を期待していました。
実際、本当に多くの方からそのような反応をいただきましたが、予想外のコメントもたくさんありました。曰く「どーせセレブな病院で産んだんだろ」(近所の普通の病院です)とか、「個室にしたんだろ」(6人部屋でした)とか……。中でもグサッときたのは、「勝手に産んだんだから、文句言うな。自己責任でしょ」でした。
私は2ちゃんねる勃興期にネットにどっぷり浸かっていた人間なので、普段ならこうした反応は華麗にスルーなのですが、この時は引っ掛かりました。妊娠出産は、子育ては、自己責任。こういう考え方が世にあることは理解はしていましたが、実際に言われると、思っていた以上に寂しいものだなぁ……。
しかし、これは世の「子育ては自己責任論」を思い知る、まさに序章に過ぎなかったのでした。
2カ月の娘と電車で移動
育休中、私は、絶対に忘れられない体験をしました。会社に用事ができ、同僚への挨拶も兼ねて、2カ月になった娘を連れて電車で移動した時のことです。
地元から都心に出て、乗り換えようとした地下鉄は、少し混んでいました。でも、ベビーカーではなく抱っこ紐だったし、娘の機嫌もよかったので、まあいいかと乗車しました。しかし、10分ほどが経った頃、駅に着く前に電車が止まったのです。先の駅で、乗客が線路に物を落としたとのアナウンス。それならそんなに時間がかかるものでもなかろうと、ぼけ〜っとしていたその時、娘が突然カナキリ声で泣き始めました(娘の泣き声は、4人の男子を育てあげたうちの母が驚いたレベルです)。
それまでスマホやら本やらに落とされていた周囲の人々の視線が、一斉にこちらに集中しました。こんなに焦ったのは、36年(当時)の人生でも、そうありません。どうにか娘を泣き止ませようとしましたが、無駄でした。今なら、たまごボーロとか、ロッテカフカのYouTube動画(なぜか泣き止む)とか、色々仕込んでいたでしょうが、ワンオペ電車初体験だった私には、そんな知恵はありませんでした。