男性の育休取得を促進する改正育児・介護休業法に注目が集まっている。人事ジャーナリストの溝上憲文さんは「企業人事部は使い勝手が格段によくなったと高評価。またアンケートでは社長の65%が女性管理職を増やすための対策として『男性の家事・育児を奨励』を挙げている。ただ実態が伴っていないため、今後の具体的な行動計画の策定が必須」と語る――。
父親がたかいたかいをして笑顔がはじける赤ちゃん
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育児・介護休業法改正のポイント4つ

一向に進まない男性の育児休業の取得を促す改正育児・介護休業法の今国会での成立が確実となった。

育児休業取得は女性に限らず、男性にも認められた権利だ。育児・介護休業法は「事業主は、労働者からの育児休業の申し出があったときは、育児休業申出を拒むことができない」(6条)と規定している。それでも女性の83.0%が育休を取るのに対し、男性の取得率は7.48%(2019年度「雇用均等基本調査」)にすぎない。

今回の男性の育児休業取得を促す改正のポイントは以下の4つだ。

(1)子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる出生時育児休業制度の新設(①申出期限は2週間前まで、②分割して2回取得可能、③休業中の就業も認める)

(2)取得しやすい雇用環境の整備と申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認措置の義務付け

(3)育児休業の分割取得(新制度を除き、2回まで取得可能)

(4)育児休業取得率の公表の義務付け(従業員1001人以上が対象)

夫婦で交互に取得することが可能に

現行の育児休業制度は原則子が1歳になるまで取得できる。それを2つに分けて女性の産後休業中の8週間以内に4週間まで取得可能とするのは明確に男性を意識した制度だ。また、8週間以内に限定して2回の分割取得ができるほか、この期間内については休業中の就業も可能とするなど柔軟な仕組みになっている。

本来、育休中は仕事をしないでしっかりと休むことが基本だが、男性が取得しない理由として「仕事の代替要員がいない」ことを挙げる人が多いことや、自分がいないと仕事が回らないという男性に配慮し、認めることにした。

さらに新制度の出生時育児休業制度を除く育児休業期間については、現行の制度は原則分割することができないが、分割して2回までの取得を可能にした。ということは男性の場合は出生後8週間以内の2回分割に加えて、8週間以降も含めて計4回の分割取得が可能になる。たとえば妻が産後休業の8週間を終えて職場に復帰し、代わって夫が育休を2カ月取得し、その後妻が育休を取得し、さらに妻が職場復帰した後に夫が取得するなど夫婦交代の育児が可能になる。