取得をしぶる夫には発破をかけよう

それでも職場に遠慮して育休を申請しない男性もいるかもしれない。(2)の個別の周知・意向確認措置については、現行制度は努力義務であるが、配偶者が妊娠・出産したことを申し出たときに育休制度を周知し、この制度の取得意向を確認することを義務付ける。周知方法は面談での制度の説明のほか、書面等による制度の情報提供など、複数の選択肢を設け、いずれかを選択することにしている。また、取得意向を確認する際は、育休取得を控えさせるような形での意向確認を認めないことを今後指針に盛り込む。たとえば上司が「君は取らないよね?」などとネガティブな言い方をするのはNGだ。

また、短期はもとより1カ月以上の長期の休業を希望する労働者が希望する期間を取得できるよう事業主が配慮することを指針で示すことにしている。

人事面談
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法律の施行日は、雇用環境の整備と個別の周知・意向確認措置の義務付けが2022年4月1日。出生時育休制度、育休の分割取得は2022年10月ごろを予定している。子どもをつくることを予定にしている人はぜひ活用してほしいし、育休取得をしぶる夫に対して発破をかけてほしい。

制度は世界一なのに韓国より低い取得率

実際のところ、法改正によって男性の育休取得がどれだけ進むのかわからないが、使い勝手がよくなっているのは確かだ。それにしても出生時育児休業制度は男性の産後休業を意識した制度だ。厚生労働省の審議会では、男女共通の権利を定めた育児休業法に男性に限定した特別の制度を設けるのはおかしいという意見もあった。だが、そこまでしないといけないほど日本の男性の育休取得が世界に遅れていることを物語っている。

国連児童基金(ユニセフ)の報告書(2019年6月)によると、OECDまたはEUに加盟する41カ国の中で取得可能な産休・育児休業期間に賃金全額(賃金と比べた給付金額の割合を加味)が支給される日数に換算した結果、日本の男性は30.4週相当で、男性の育児休業制度は第1位にランク。2位の韓国(17.2週)、3位のポルトガル(12.5週)を大きく引き離している。報告書は「父親に6カ月以上の(全額支給換算)有給育児休業期間を設けた制度を整備している唯一の国」と紹介する一方、「2017年に取得した父親は20人に1人」(5.14%)と、取得率の低さを指摘している。同じく低取得率と言及された韓国の17%(2018年)よりさらに低い。