日本初のハンバーガーチェーン「ドムドムハンバーガー」の藤﨑忍社長は、39歳まで専業主婦でアパレル店員、居酒屋経営を経て、入社9カ月で社長になるという異色の経歴を持つ。どうやって低迷していた業績を復活させたのか。著書『39歳、初就職。』(世界文化社)より、一部を紹介する――。
社長の写真
提供=ドムドムフードサービス

ドムドムは黒字企業に生まれ変わった

社長就任後2年8カ月目、ついにドムドムハンバーガーは黒字転換を達成しました。ドムドムにとっては、本当に久しぶりの黒字だったはずです。

店舗売上だけでなく物販の売上も加わっていたため、黒字着地は予想していました。それでも、通期決算で最終益がわかったときは本当に嬉しくて、みんなで手を叩き、喜びを爆発させました。

ただ、黒字だけが目的だったわけではありません。

「とにかく売上さえ増えればいい」という感覚で歩んではいませんでした。

お客様の郷愁と愛着、期待に支えられているブランドとして、お客様とスタッフの人生に寄り添い、喜んでいただける商品やサービスを提供する。そういった会社経営の核となる部分に注力すると決めていました。

これはその決意の結果で、その後も5期連続の黒字を維持しています。

スタッフとの信頼関係を築いた社内風土の改革、ドムドムらしさを模索した日々、そこから導き出されたコアコンセプトを守ること、そうした取り組みのすべてがつながってきたのだなと感じます。

「採算が取れないのでは?」と疑問視された出店

2021年は、新店舗の出店が続いた年でもありました。

最初は3月の千葉県「市原ぞうの国」です。「ぞうの国」と「どむぞうくん」の象つながりで、園のリニューアルオープンに合わせて出店のお声がけをいただきました。

ドムドムハンバーガー 市原ぞうの国店
提供=ドムドムフードサービス
ドムドムハンバーガー 市原ぞうの国店

浅草花やしき店と同じくレジャー施設内の出店です。入園料がかかる上、休園日もあり、アクセスがいいわけでもない。コロナ禍という状況だったこともあり、社内では「採算が取れないのでは?」という声が上がりました。