現地視察をして感じた「出店の意義」
確かにその通りかもしれないと思いましたが、現地視察をして、出店する意義のほうが大きいという結論に至りました。
店舗の立地は、水浴びショー「エレファントスプラッシュ」を間近で見られるフードコートです。
そこで、目を輝かせながらショーを見る子どもたちの手にドムドムハンバーガーがあったら、象が怖くて泣き出してしまったお子さんがドムドムハンバーガーを召し上がって笑顔になったら、どんなに素敵だろうと想像が膨らみました。
子どもたちの記憶の中に「象さんのショーを見ながらドムドムハンバーガーを食べた思い出」が残ってくれたらいいなと願いながら、出店の意義を感じました。
7月には、宮城県「イオンモール新利府北館」を出店。
そして8月には、新業態として、既存店舗より高い価格設定のプレミアムバーガーをメインに打ち出す「ツリーアンドツリーズ(TREE&TREE's)」を新橋に開店しました。
2年前の六本木イベントで好評だった和牛バーガーを、より多くの方に召し上がっていただきたいと思ったことがきっかけでした。
店のコンセプトから店名、ロゴまですべて、自分が先頭に立って進め、オールキャッシュレスにも挑戦。独自のオペレーションスタイルを構築しました。
この取り組みは、黒字転換した好調な時期でもあったため、「日経スペシャル ガイアの夜明け」(テレビ東京系)から取材が入り、開店までのプロセスを追っていただくことになりました。また、この出店と合わせてLOFTさんとコラボした36種の開店記念グッズ製作、共同販売にも挑戦しました。
新橋「ツリーアンドツリーズ」は1年で撤退
しかしタイミングが悪いことに、ツリーアンドツリーズの開店直前に再び緊急事態宣言が出てしまったのです。夜間のアルコール提供などで売上を伸ばす見込みは大きく外れ、弱り目に祟り目で、店を構えたビルをカプセルホテルにする計画が浮上。ツリーアンドツリーズは1年ほどで撤退することになってしまいました。
期待したチャレンジは不完全燃焼に終わり、とてもやりきれない気持ちになりました。ただ、私はこの出店を「失敗」だとは思えませんでした。どんなに万全の準備をしても、不測の事態が起きてうまくいかないときはあるものです。