現場の悲鳴が集まった「#教師のバトン」
2019年の公立小学校の教員採用倍率は、全国平均で2.7倍と過去最低になった。「#教師のバトン」は、こうした状況に危機感を持った文部科学省の取り組みだ。ハッシュタグを使ってツイッターなどで教員個人からの発信を呼びかけたことは、文部科学省としても大きなチャレンジだったが、集まった声の大半は、「仕事が終わらない」「残業100時間」「自分の時間が全くない」「休めない」「働き始めたばかりだが辞めたい」などの現場の壮絶な窮状だった。
教員の長時間労働の一因とされてきたのが、長時間の会議、紙ベースの事務処理など。「校務や学級事務、会議で授業の準備が全然できない」といったツイートも散見された。しかし狛江市立狛江第三小学校では、こうした事務や会議、定例行事などを見直すことで、この2年で働き改革を進めている。
大反対された職員会議の廃止
狛江第三小学校の校長、荒川元邦さんは、2018年4月に校長として赴任した当時から、教員の働き方の見直しを大胆に行ってきた。
「まず月1回の職員会議を無くしました。マイクロソフトのOneNoteというソフトを使えば、必要な情報は常に共有できます。会議は必要な時に必要な人だけが集まればいい。毎朝の職員朝会も、読めばわかる連絡事項は省き、必要な補足だけを行うようにするとかなりの時間を短縮できました」
それまで定例の職員会議は月1回、水曜日の14時から16時まで2時間を費やしていた。多くの学校では慣例として同様の頻度、長さで行われていることが多い。
「どこの学校もそうですが、教員はみんなとても真面目です。実は、最初にこの提案をした時、『教員同士の共通理解が図れない』『学校を壊す気ですか』と大反対されました」
それでも、丁寧に理由を説明しながら会議の見直しを進めた。
「もちろん、何でも廃止すればいいというものではありません。子どもたちにとって必要なものは残す。いらないものはなくす。これまで慣例として行われていたことは、『なぜ必要なのか』を問い直す。そうすれば自ずと時間は減らせます」