教科書かタブレットか、選ぶのは子どもたち
タブレットの配布から半年経ったいま、子どもたちの机の上には常にタブレットが置かれている。調べものをする授業では、教科書や資料集を使う子もいれば、タブレットを使う子もいる。何を使うかを先生が指示するのではなく、選択は子どもたちに任されており、自分で好きな方法を選べる。
当初は、タブレットの使用に慣れていない先生が、子どもたちに使い方を教えてもらう姿も見られたという。
「先生と子どもたちの関係も双方向になり、先生たちからもタブレットやオンライン利用の新しいアイデアがどんどん出るようになりました。アメリカ大使館の外交官とオンラインでつなぎ、翻訳機能を使って英語でやりとりもしました。コロナ禍のため授業参観ができない時には、子どもたちがクラスの様子を撮影して紹介動画を作り、タブレットを持ち帰って保護者に見せたこともあります。可能性はどんどん広がると思います」(荒川校長)
子どもたちにしてほしいことは、まず大人が実践する
小学校で昨年度から施行されている新しい学習指導要領には、次のような思いが込められている。
「これからの社会が、どんなに変化して予測困難な時代になっても、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現してほしい。そして明るい未来を、共に創っていきたい」(文部科学省ホームページより)
大人に求められることも同じだ。決して前例にしがみつくことではない。
「新しい学習指導要領が重きを置いている『主体的・対話的で深い学び』を、私たち大人が実践できなければ、子どもたちにできるはずがありません。狛江第三小学校の学校経営の方針は“子どもファースト”と“働きやすい職場環境”です。子どもがまず一番。そして、子どもたちが楽しくて行きたいと思える学校やクラスにするには、先生たちが働きやすくて楽しいと思えるようにしようと。子どもたちに『こうしようね』と言っていることは、全部自分たちに返ってきます」(荒川校長)
文=太田美由紀
東京都公立小学校長会副会長・全国連合小学校長会対策部長(2021年5月18日付)。公立小学校教諭として12年勤務した後、東京都総務局人事部及び教育庁学務部の課務担当係長、教育庁指導部統括指導主事、教職員研修センター統括指導主事、主任指導主事、教育庁総務部教育政策担当課長、指導部オリンピック・パラリンピック教育推進担当課長、等を経て、現職。