マスクで目が乾く「マスクドライアイ」とは

1年以上続いているコロナ禍の状況は、角膜の傷リスクを高める3つの条件が揃っていると堀医師は指摘する。

1.目の酷使

前述のとおり、テレワークの導入などによりデバイスの操作時間は格段に増えている。通常時のまばたきの回数は1分あたり15~20回なのに対し、スマホやPC、タブレットなどのディスプレイ作業をすると、まばたきの回数は1分あたり約5回と、通常時の1/4に減る。

また、長時間画面を見続けて目の周りの筋肉が緊張し続けることで、自律神経が交感神経優位になり、涙が出にくくなるという。

2.マスクドライアイ

マスクドライアイとは、マスクから漏れる呼気によって涙が蒸発し、目が乾燥すること。マスクをしているとメガネが曇ることがあるように、隙間から漏れた呼気は上向きになる可能性が高く、これにより眼球に空気があたって涙の蒸発を促すことが考えられるという。

日本人はコロナ以前からマスク生活に慣れているため、マスクドライアイの報告は今のところ多くないそうだが、マスク習慣のなかった欧米ではマスク関連ドライアイの論文が多数投稿されており、3605人を対象とした調査研究(※)では参加者の18.3%がマスク関連ドライアイを経験し、症状のある26.9%がマスク着用時に症状が悪化すると答えているという。

※Self-reported symptoms of mask-associated dry eye:A survey study of 3,605 people=マスク関連のドライアイの自己申告症状。3,605人を対象とした調査研究。ContLensAnteriorEye.2021 Jan 20:S1367-0484(21)00007-2. doi:10.1016/j.clae.2021.01.003. Online ahead of print. PMID:33485805)

3.精神疲労による涙の量と質の低下

コロナ禍による不安やストレスの持続で自律神経のバランスが乱れると、涙が出にくくなるばかりか、涙の蒸発を防ぐ働きのある油層を分泌するマイボーム腺の働きが悪くなり、涙の質が低下する。

角膜の傷を悪化させないためには早めのケアが肝心だという。まずは自身の角膜の傷リスクを確認してみよう。