※本稿は、伊藤羊一『1分で話せ2【超実践編】』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
交渉で「NO」と言えない
交渉でNOが言えません。ここに着地させたいというゴールイメージを持っていても強く主張されると反論できず、相手の思うように交渉を進められてしまいます。
また、相手の話にすぐ反論を組み立てられず、自分でも判断がつかないまま、相手のペースで話が進んでしまって、こう言っておけばよかったと、あとになって思います。
【POINT】
・妥協できるラインと譲れないラインを引いておく
・言葉ではなく「態度」で表す
・NOと言うときは相手を理解しようとするサインを忘れずに
まず交渉に入る前に、どこまでなら妥協できるか、どこからは譲れないのかというラインをはっきり決めておくことです。自分の中に判断基準がないと、相手の勢いに押されてしまいますので、交渉に臨む前の準備段階でそこを決めておきます。
交渉というのは、お互いの「NO」をどこまで通すかの戦いでもあります。
「NO」と言うと相手が気分を害するのではないかと心配する人もいますが、「NO」と言うことと、相手の人間性を否定することはまったく別です。
でも、しっかり反論する準備ができていればいいのですが、そうではないことも多いですよね。自分の考えがまとまっていないときに反論されると、譲ってはいけないと思いながらも、ついつい相手のペースで物事が進んでしまったり、相手の言うことにも理があるような気がして、あとになってから「あのとき、こう言っておけばよかった」と後悔することもあります。
困ったときの最強フレーズ
こんな時、僕は「うーん」と言ってYESともNOとも言わないことにしています。
「◯◯をお願いできませんか?」
「うーん」
「でも、伊藤さん。こういうメリットがあるんですよ」
「うーん、うんうんうんうん。うーん」
「反対がなかったら進めてもいいですか?」
「うーんうーん。なんかモヤモヤするんですよね。モヤモヤの正体を考えているんですけどね」
という感じです。「角が立ちそうで、なかなか強くNOと言えない」人にもおすすめです。
反論されたり、意向に合わない提案を受けたとき、「これには反対である。理由は3つあって、これこれである」とすっきり言えることのほうが少ないと思います。自分の中でも「ちょっと違うな」という感覚はあるものの、確証はない。相手の言うことが正しい気もする。
でも直感というものは大抵正しいので、そこで譲ってしまうと、やっぱり後悔します。
「相手に悪く思われたらどうしよう」という理由で決断するほど馬鹿馬鹿しいことはありません。一度YESと言ったら、その後くつがえしにくいから、「アホか」「何言っているんですか」と言われても、捨て身の姿勢で「うーん」とモヤモヤを伝えていく。それも1つのやり方です。