会議で物事が決まらない
会議で物事がなかなか決まらないのは、そもそもどうやって意思決定するかということを決めていないからです(PTAの係決め会議でもよく見かけます)。
「意見が対立したとき、議長(ファシリテーター)がどう引き取るか」の箇所でもご説明した通り、意見が平行線をたどって結論が出ないときは、最終的に多数決で決議するのか、より上の役職の人にエスカレーションするのかというように、あらかじめルールを決めておく必要があります。
ただ、できれば議論を通じて、みんなで決めるところまでいきたい。
会議中のファシリテーターの役割としては、「意見が割れていますね」「このままだと時間切れになってしまいますよ」ということを伝えたうえで、争点を整理することが大事です。
「Aさんは積極的に投資すべきというお考えですよね。それに対してBさんは予算がないとおっしゃっている。つまり、もし予算が許せばAさんの意見で一致ということでよろしいでしょうか」というふうにです。
話を蒸し返す上司
同じ話の繰り返しにならないために会議で話題が次に移っているにもかかわらず、上司が「いや、さっきの話はこういうことだよね。だったら、こういう問題もあるんじゃないかなあ」などといって、話を蒸し返したり、せっかく決まった結論をひっくり返すこともあるでしょう。
実際、こういうケースはよくあります。ですから、前項のゴールや時間配分を決めて進めていくことが大事です。
「今は前期の予算について話していますよね」ということを会議の参加者全員が理解していて、「これはOKですよね」とみんなが理解したら、次のテーマに移るのが理想です。
議事進行と時間配分をスクリーンに映写したり、ホワイトボードに書いて、みんなが見られる状態にして、「はい、⑴が終わったので、次は⑵に移りたいと思います」と言うのも有効です。
1967年生まれ、東京都出身。東京大学経済学部卒業。武蔵野大学アントレプレナーシップ学部学部長、LINEヤフー株式会社LINEヤフーアカデミア学長。グロービス・オリジナル・MBA プログラム(GDBA)修了。1990年に日本興業銀行入社。2003年、プラス株式会社に転じ、事業部門であるジョインテックスカンパニーにてロジスティクス再編、事業再編などを担当し、2011年より執行役員マーケティング本部長、2012年より同ヴァイスプレジデントとして事業全般を統括する。2015年にヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)に転じ、現在はLINEヤフーアカデミア学長としてLINEヤフー株式会社全体の次世代リーダー開発を行う。2021年4月に武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)の学部長に就任。主な著書に、60万部超のベストセラー『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』(SB クリエイティブ)、『「僕たちのチーム」のつくりかた メンバーの強みを活かしきるリーダーシップ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『FREE, FLAT, FUN これからの僕たちに必要なマインド』(KADOKAWA)などがある。