会議で物事が決まらない

会議で物事がなかなか決まらないのは、そもそもどうやって意思決定するかということを決めていないからです(PTAの係決め会議でもよく見かけます)。

伊藤羊一『1分で話せ2【超実践編】』(SBクリエイティブ)

「意見が対立したとき、議長(ファシリテーター)がどう引き取るか」の箇所でもご説明した通り、意見が平行線をたどって結論が出ないときは、最終的に多数決で決議するのか、より上の役職の人にエスカレーションするのかというように、あらかじめルールを決めておく必要があります。

ただ、できれば議論を通じて、みんなで決めるところまでいきたい。

会議中のファシリテーターの役割としては、「意見が割れていますね」「このままだと時間切れになってしまいますよ」ということを伝えたうえで、争点を整理することが大事です。

「Aさんは積極的に投資すべきというお考えですよね。それに対してBさんは予算がないとおっしゃっている。つまり、もし予算が許せばAさんの意見で一致ということでよろしいでしょうか」というふうにです。

話を蒸し返す上司

同じ話の繰り返しにならないために会議で話題が次に移っているにもかかわらず、上司が「いや、さっきの話はこういうことだよね。だったら、こういう問題もあるんじゃないかなあ」などといって、話を蒸し返したり、せっかく決まった結論をひっくり返すこともあるでしょう。

実際、こういうケースはよくあります。ですから、前項のゴールや時間配分を決めて進めていくことが大事です。

「今は前期の予算について話していますよね」ということを会議の参加者全員が理解していて、「これはOKですよね」とみんなが理解したら、次のテーマに移るのが理想です。

議事進行と時間配分をスクリーンに映写したり、ホワイトボードに書いて、みんなが見られる状態にして、「はい、⑴が終わったので、次は⑵に移りたいと思います」と言うのも有効です。

伊藤 羊一(いとう・よういち)
Zアカデミア学長

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長。東京大学経済学部卒、日本興業銀行、プラスを経て2015年よりヤフー。現在Zアカデミア学長としてZホールディングス全体の次世代リーダー開発を行う。またウェイウェイ代表、グロービス経営大学院客員教授としてもリーダー開発に注力する。2021年4月に武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)の学部長に就任。代表作に52万部超ベストセラー『1分で話せ』。ほか、『1行書くだけ日記』『FREE, FLAT, FUN』など。