歩み寄りながら一線は譲らない
ポイントは「あなたの言うことを心から理解しようとしています。でも僕は違う意見を持っています。意見は違うんですけど、あなたのことを理解したいし、何かしら歩み寄りたいという気持ちはあるんです」ということをサインで示しながら、一線は譲らないことです。
「あなたの意見に反対です」ということと「あなたのことをリスペクトしています」というのは両立できます。同じように、相手の話を受け止めることと「でも賛成はできないんですよね」ということも両立できます。
聞いた瞬間、明らかに「それはないな」という提案だったとしても、「僕は違うなと思ったんだけど、どうしてそう思ったのですか?」「そういう見方もあるかもしれませんね」
というように、一旦は相手の話を聞いてみる。相手を受け止めるスタンスは持っておく。
聞いたうえで、「ああああ、その気持ちもわかるから、ものすごく残念だけど、自分はちょっとYESとは言えない」ということを全身で示して、「かわりに、こういうのはどうですかね」というように、自分のスタンスをじわじわと伝えるようにします。
いくら口で「わかります」と言っても、目を合わせなかったり、体が引いていると、相手は「口だけなんだな」と感じます。相手をリスペクトしたいという気持ちがあれば、全身に出ます。こういう局面ほど、相手へのリスペクトは大切です。
自分のことについて交渉が苦手
人事評価のときなどに自分のことをアピールするのが苦手です。仕事は結果を出してこそだと思うので、もう数字として見えていると思いますし。でもアピールはしたほうがいいのでしょうか?
【POINT】
自分を評価できるのは自分しかいません
「今期の昇給は据え置きだよ」
「どうしてですか。今期、かなり頑張ったつもりですが……」
自分のアピールができない。頑張っているつもりなのに、周囲に認められない。そんなときは、自分の成果に関する「結論+根拠」が明確に伝わっていないかもしれません。
こうしたときも、やはり「結論+根拠」のピラミッドをつくってみましょう。
根 拠1 予算に対して120パーセント達成した
根 拠2 達成度はチームメンバーの平均よりも高い
根 拠3 大型顧客を3件開拓した
こういうピラミッドをつくってみて、「結論+根拠」が明確だなと思ったら、それを伝えてみてください。
ただ、そもそもマネージャーが前提を伝えていなかっただけで、全社の業績が落ち込んでいるから、社員は一律で昇給がないという事情があるのかもしれません。そうした隠れた前提を探りながら、自分の成果はきちんと伝えることが大事です。
よく「ちゃんと仕事をして成果を出しているから、わざわざアピールしなくていい」と考えている人もいます。マネージャーがちゃんと評価してくれる人であればいいのですが、残念ながらそうではない人もいますから、成果はなるべく客観的に伝えられるといいです。自分を宣伝してくれるのは、基本的には自分だけなのです。