突然やって来たロックとの出会い
出会いは、突然やって来た──。
hideの運命を変えたバンド・KISSとの出会い。それは、彼が中学校2年生のときだった。それまで音楽といえば、テレビの歌番組を見るくらいだったのだが、友だちがカセットテープにダビングしてくれたKISSのアルバムが彼の世界を一変させた。
KISSは当時大人気のアメリカのバンドだが、最初に毒々しいメイクと鎧のような衣装のポスターをレコード店で見たとき、hideは「気持ち悪い」と思っていた。しかし、友だちがくれたカセットテープから再生されたのは、サウンドはハードなのに、メロディはとてもキャッチーな曲ばかり。
hideは、一瞬にしてKISSの音楽の虜になった。レコードやビデオはもちろん、KISSの記事が載っている音楽誌も片っ端から買い集めた。そして、とうとうファンクラブにも入会した。
ロックに夢中になっていく息子を心配していた両親に対し、応援してくれたのが横須賀で美容院を経営していた祖母だった。背が高く、普段からインドの民族衣装であるサリーを身にまとうなど個性的なファッション感覚を持っていた祖母はhideの良き理解者で、レコードを買うためのおこづかいもよくくれた。
hideがXのデビュー当時に着ていた衣装は祖母が着ていたサリーで、彼のヴィジュアルに関する斬新なセンスは祖母の影響によるところが大きかった。
ニックネームは「ギブソン」
ロックの魅力に取り憑かれたhideが次に考えたのは、ギターを手に入れること。基地の街・横須賀でお店をやっている祖母には知り合いが多いことから、欲しいギターのリストを書いて祖母に渡しておいた。