「1人のニーズ」は他のお客様のニーズにつながる

世の優秀なバイヤーたちからは、「お客様の声を鵜呑みにするのは危険だ」「飯田屋さんの仕入れは挑戦的だ」と言われます。たしかに売れ筋を狙うための仕入れならば危険かもしれません。

でも、僕たちは違います。

10万人のうち1人でも歓喜してくれる商品を仕入れられればいいのです。1人のお客様のニーズは、必ずほかのお客様のニーズにもつながります。

「飯田屋」の店内。包丁を解説するPOPが並ぶ
撮影=小林久井
「飯田屋」の店内。包丁を解説するPOPが並ぶ

次世代に受け継げるような耐久性のあるフライパンをつくりたいと思ったのも、お客様の声がきっかけでした。親が使っていた包丁を刃が削れて小さくなるまで使っているという話を耳にしたことはありますが、ほかの料理道具で世代を超えて受け継ぎ使い続けていると聞く道具はあまりありませんでした。鍋を受け継いだという人の話をまれに耳にしましたが、フライパンでは一度もありません。

フッ素加工を施した家庭用の一般的なフライパンは、耐用年数がせいぜい1、2年。「錆びない」「変形しない」「焦げつかない」「受け継げる」という四つの要素を兼ね備えたフライパンが、ありそうで見つからないのです。

5年の歳月をかけて完成させた「理想のフライパン」

それならば「理想のフライパンをつくればいい!」と考えました。

世代を超えて使える100年もののフライパンをつくることはできないものだろうか。そこで新潟県燕市のフジノスさんとタッグを組み、5年の歳月をかけて完成したのが「エバーグリル」です。

飯田結太『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)
飯田結太『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)

エバーグリルは圧倒的なブレイクを果たしました。生産が追いつかないほどの大ヒット商品となったのです。

お客様の求めるニーズは、驚くほどさまざまです。ですから、これだけ集めたらご満足いただけるというゴールや終着点はありません。

だからこそ、「お客様の声を聞くことがいかに大切か」は、いつも飯田屋のみんなで共有しているテーマなのです。

もっと、もっと、いい道具があるのかもしれません。貪欲に探求することはこれまでも、そしてこれからも変わらぬ飯田屋の姿勢です。

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