悪い借金とは?

では次に、“悪い借金”とはどのようなものでしょうか?

現在は表面金利だけを考えれば、ほぼゼロ金利に近い状況ですが、借金をする場合の金利は住宅ローン金利等を除けば、相変わらず高いままのものもあります。前述したようなカードローンや消費者金融です。なぜこの金利が高いのかは先ほど説明しましたね。自分の限り無い欲望を満たすために、信用度の低い人の金利まで負担してあげるというのは実に不合理な話です。そうした“仕組み上”、金利が高くなってしまっている借金は利用すべきでは無い“悪い借金”です。

次に気をつけるのは、「借金であることを意識させない借金」です。典型的なのが「リボ払い」です。名前からしてローンとか借金というイメージではなく、何だか払い方のひとつのバリエーションであることを強調しているので、気軽に利用しがちですが、これはまぎれもなく年率15%とか18%という超高利の借金です。リボ払いの問題点は、

1.借入額が増えても毎月の返済額は変わらないため、借金しているという意識が薄れる。
2.その結果、知らず知らずのうちに借入額が増え、大きくなりがちである。
3.借入額が増えると返済期間が長くなるため、返済完了までの利息の負担が激増する。
4.返済総額が分かりにくいため、いかに多くの利息を払っているかが実感できなくなる。

といった点にあります。これは実に巧妙に人間の心理を突いた仕組みなので、実際にリボ払いがかさんで苦しんでいる人が多いのは事実です。

借金が全て悪いことではありませんが、自分にとって「良い借金」なのか「悪い借金」なのか? それをよく冷静に考えてみることが大事ですね。

大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト

大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。