コロナショックとそこからの急回復をただ眺めていた人々

要するに、世界的な新型コロナウイルス感染拡大が始まった2020年2月から3月にかけて、コロナショックと呼ばれる世界の株価大暴落が起き、下落が始まってから1カ月足らずで急落相場は底をつけました。以後は今に至るまで総じて右肩上がりの急回復相場が継続中、という過去1年のマーケット動向を、彼ら彼女たちは問題意識に目覚めながらひたすら眺めてきたわけです。

スマートフォンで金融チャートを分析する若い金融専門家
写真=iStock.com/guvendemir
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すなわち約1年前のマーケット急落局面では、どこまで下がり続けるかという恐怖でまったく行動することができず、やがて相場底入れ後の急回復が始まったなら、次に下がったところで始めよう、などと安易に考えているうちに、これまでの右肩上がり局面に乗ることができず、逡巡したまま今に至ったということです。

上がっているときも下がっているときも合理的に行動できない

実はこの1年間において、私たちは大変重要な実体験を得られたことになります。つまり多くの人は下がっているときも上がっているときも、相場に対峙してタイミングを見計らい合理的に行動することはなかなかできないものだということです。

将来に向けた資産形成は、決して相場で勝負を挑む行為ではありません。それは企業がもっと便利で楽しく豊かで幸せな社会を実現すべく、課題解決に根差したビジネスに必要資金を投入して、その事業成果(成長)からリターンの分配を受けてお金を育てていく行動であり、だからこそ長期投資になるのです。長期資産形成においては、お金が育つゴールはずっと先のこと。となれば、今の相場が高すぎるとか下がりそうなどといった目先の値動きは関係ないはずです。