求人サイトに登録すると送られてくるスカウトメール。あるいは職場にかかってくる「ヘッドハンター」を名乗る電話。自分の経歴が評価されてのことかと思いきや、実はそうでないケースのほうが圧倒的に多いのだとか。こうした勧誘に振り回されないためのコツを、35歳以上の転職事情に詳しい黒田真行さんが解説します——。
ノート パソコンを見てガッツポーズする女性
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「経歴が評価された」は思い違い

転職活動の経験者には、「ヘッドハント」や「スカウト」という言葉を聞いたことのある人も多いかと思います。こうした勧誘があると、「自分の経歴が評価された」とつい喜んでしまいがちですが、実際のところはどうなのでしょうか。まずは、それぞれの内情を解説したいと思います。

ヘッドハントは、基本的にエグゼクティブクラスだけを対象に行われるものです。「A社の経営者があなたに会いたいと言っている」と名指しで連絡があり、具体的な面談日時まで提案されるのが一般的。行動の主体は企業とヘッドハンターであり、声を掛けられる側は、必ずしも転職を希望しているわけではありません。通常は自らが希望して「ヘッドハントされる」のではないのです。

時々、「ヘッドハンター」を名乗る人から職場に電話がかかってきたという話も聞きますが、前述の通り、ヘッドハントは名指しで行うもの。名前や面談日時などの具体的な話がなければ、やみくもに掛けた営業電話の可能性が高いので、惑わされないでほしいと思います。

一方、スカウトは一般的な転職者も対象になります。求人サイトや転職エージェントに登録したら「スカウト」と書かれたメールが送られてきた──。こんな経験をした人も多いのではないでしょうか。

こうしたメールは、企業側が対象者を選んで送っている場合もありますが、たいていは求人サイトによる一斉送信。誰か一人にではなく、何百人もの不特定多数に送られていることがほとんどです。