私たちはひどい体型!

直系の先祖に会ったとしよう。あなたが男性ならば父親の父親の父親の父親の父親、女性ならば母親の母親の母親の母親の母親だ。そうやって何世代も遡って、1万年前に生きていた先祖に会ったとしたら? 1万年も離れた親戚に対するあなたの第一印象は、「なんてよく鍛えられた肉体なんだろう……」のはずだ。一方で、私たちのほうは先祖よりもひどい、それもかなりひどい体型をしている。

7000年前のヒトの大腿骨や脛の骨を分析してみると、当時の平均的な骨質、骨量、強度は現在の長距離走者レベルだった。その中でもとりわけ身体の鍛えられた狩猟者や採集者は、現在のトップアスリートのレベルを超えている。ケンブリッジ大学の研究者コリン・ショウは、私たちの祖先は身体の状態に関しては「怪物」だと評している。一方、現代人の身体のコンディションはお世辞にも良いとは言えない。「現代人の体型はかなり悲惨なものだ」

ショウは、骨格の質が徐々に悪くなったことの最大の原因は運動量が減ったことだと考えている。座りっぱなしのライフスタイルのせいで骨密度が下がり、脚の強度も落ちた。言い換えれば、ますます座りっぱなしの現代、脳だけでなく身体機能も低下するリスクがあるのだ。

アンデシュ・ハンセン
精神科医

ノーベル賞選定で知られる名門カロリンスカ医科大学を卒業後、ストックホルム商科大学にて経営学修士(MBA)を取得。現在は王家が名誉院長を務めるストックホルムのソフィアヘメット病院に勤務しながら執筆活動を行う傍ら、有名テレビ番組でナビゲーターを務めるなど精力的にメディア活動を続ける。前作『一流の頭脳』は人口1000万人のスウェーデンで60万部が売れ、その後世界的ベストセラーに。