アッラーに従い、平和・平等な暮らしをめざす
イスラム教
● 一神教(アッラー)
● 信者数:約18億人
● 開祖:ムハンマド(570年ごろ~632年)
● 教典:クルアーン(コーラン)
イスラム教には組織的な教団は存在しない
イスラム教は約18億人の信者を抱え、今日ではキリスト教についで世界第2位の宗教となっています。
イスラム教は、キリスト教やその母体となったユダヤ教と比較して後発の宗教です。イスラム教が誕生した7世紀はじめ、イスラム教の開祖であるムハンマド(マホメット)が宗教活動を展開したアラビア半島では、すでにユダヤ教やキリスト教が広まっていました。それを踏まえると、後発の宗教としてのイスラム教は、ユダヤ教やキリスト教の影響を色濃く受けて成立した宗教といえるでしょう。
イスラム教で信仰の対象となるのは「アッラー」です。ただし、これをイスラム教の神の名前と考えるのは大きな誤解です。というのも、アッラーとは神のことを指すアラビア語の一般名詞であり、特定の神を指す固有名詞ではないからです。したがってイスラム教徒が信仰するアッラーは、ユダヤ教の神でもあり、キリスト教の神でもある。少なくとも、イスラム教ではそのように考え、ユダヤ教とキリスト教は兄弟宗教と認識しています。
イスラム教の際立った特色として、組織というものが存在しないことが挙げられます。一般に、宗教においては、信者が結集する教団という形の組織が存在しますが、イスラムには信者をとりまとめる教団がないのです。
モスクは一見すると、組織であるようにも見えますが、あくまで礼拝所にすぎません。たまたま近くにいるムスリム(イスラム教徒)が礼拝に来るというだけで、それぞれの人間が特定のモスクに所属するという形態にはなっていません。
その点では、日本の神道に近いところがあります。神社も参拝するための場所であり、参拝した人がその神社に属しているわけではありません。また、礼拝時に身を清めることを重視するところもよく似ています。
教団組織の存在しないイスラム教では、宗教法もすべて自発的な戒めです。イスラム教徒が豚肉を食べたとしても、本来的にはそれで罰せられることはありません。教団組織が存在せず、教義を実行するかどうかは個人に任されているという点で、イスラム教は規制の緩い宗教なのです。