多くの人が正しい選択をできない

これは「モンティ・ホール問題」と呼ばれるもので、箱を10個にするとわかりやすくなります。箱が10個あって、1つの正解の箱を選ぶあなたの確率は1/10。残りの箱のどれかが正解である確率は9/10。つまりは、最初に選んだ箱以外の箱を選んだほうが当たる確率は高くなります。

【図表】モンティ・ホール問題
イラスト=湯朝かりん
※星 渉、前野隆司『99.9%は幸せの素人』(KADOKAWA)より

これを3つの箱に置き換えると、あなたがもともと選んだ箱の正解確率は1/3。残りの箱が正解の確率は2/3ですから、CからBの箱に変えると、正解確率はあなたが最初に選んだ箱のままでいるより2倍も高くなるのです。

さて、もう一度、お聞きします。

あなたがこれまで「正しい」と思っていたことは、本当に全て正しい、つまりは、自分にメリットがあることだと言い切れるでしょうか?

知らず知らずのうちに、先ほどの質問のように「確率は1/2だ」という間違ったことを「正しい」と思い込んで、100万円を逃す選択をして生きてきたのかもしれません。

ここまでくると、少し雲行きが怪しくなってきましたね。

そう、私たちが「正しい」と思っていることが、実は私たちを苦しめていたり、私たちに損をさせているわけです。

この真実にほとんどの人が気づいていませんが……。

・あなたを苦しめている思い込み
・あなたの毎日の努力を台無しにしてしまっている思い込み
・あなたに損をさせている思い込み

を手放していきましょう。

先述の11項目の1つひとつは、我々の思い込みであって、続けると不幸になることが科学的な裏付けのもと明らかになっています。本書はそうした思い込みの誤りを手放すきっかけになることでしょう。

星 渉(ほし・わたる)
作家、ビジネスコンサルタント

Rising Star 代表取締役。1983年仙台市生まれ。大手企業で働いていたが岩手県で東日本大震災に被災。生死を問われる経験を経て「自分の人生の時間はすべて好きなことに費やす」と決め、独立起業し、心理療法やNLP、認知心理学、脳科学を学び始める。それが原点となり、個人の起業家を対象に「心を科学的に鍛える」ことを中心に置いた独自のビジネス手法を構築。国内外で「好きな時に、好きな場所で、好きなシゴトをする個人を創る」ために活動している。『神メンタル』『神トーーク』(KADOKAWA)はシリーズ累計20万部突破のベストセラー。最新刊は慶應義塾大学の前野隆司教授との共著『99.9%は幸せの素人』(KADOKAWA)。

前野 隆司(まえの・たかし)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授

1984年東京工業大学卒業、86年東京工業大学修士課程修了。キヤノン株式会社入社、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より現職。2017年より慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。著書に『幸せのメカニズム』(講談社)、共著に『ウェルビーイング』(日本経済新聞出版)、『「老年幸福学」研究が教える 60歳から幸せが続く人の共通点』(青春新書インテリジェンス)など著書多数。