企画を提案しても反応が薄く、返事がないままいつの間にかボツになる──。そんな男性上司の態度に悩んでいる人も多いのでは。なぜそんな態度になるのか、スルーされないためにはどうすればいいのか。男性学を研究する田中俊之先生に聞きました──。
部下からの報告を受ける中年ビジネスマン
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「意を酌めないほうが悪い」という考え方

男性上司に企画提案した時、話は聞いてくれるのにいいとも悪いとも言ってくれない。本音を聞きたくても「忙しいアピール」が強くて話しかけにくい。今、そんなモヤモヤを感じている女性が少なくないようです。いくら一生懸命企画を考えても、暖簾のれんに腕押し状態では次の行動を起こそうにも起こせません。

彼らはなぜそうした行動をとるのでしょうか。ひとつには、世代的な問題があります。今の上司層は「人を巻き込める」「経験則で対処できる」「いつも忙しい」などの点で評価を得てきた世代。それが有能の証しでもあったため、この3つができない部下は無能、つまり「できないほうが悪い」と考えてしまいがちです。

自分を巻き込めない部下のほうに非がある、返事がない=ボツということなのにそれがわからない部下が悪い、自分は有能で忙しいからできない人の相手をしている暇はない。そんな意識が相まって「スルーする」という行動につながっているのではと思います。

提案を「スルーする」のはマウント行動の一種

部下の提案をスルーするというのは、わかりやすいマウント行動でもあります。相手に自分の優位性を示し、有能感を高めるためのもので、ある意味とても男性的と言えるでしょう。

ただ、今はこうした態度はパワハラにも当たりかねません。自分の優位性を盾にとって相手の意見を聞かない、あるいは相手にしないというのは、現代の組織においては大問題。近い将来、上司としての評価は下がっていくはずで、そこに気づいていないのは少しかわいそうとも言えそうです。