キャピタルゲインだけでなくインカムゲインも魅力的
3つのポイントで銘柄を絞り、その中からさらにピックアップしたものは以下になります。今後も長期的な成長が見込める通信系からNTTドコモとKDDI。NTTドコモの親会社で、ドコモの株を64%持つ日本電信電話(NTT)も条件を満たし、かつ、ドコモの恩恵を受けるものとして、おすすめできます。
また製造業では、グローバルでも知名度の高い日本企業の最大手、自動運転やMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス、交通機関をIoTで結びつける次世代の交通サービス)などで注目を浴びるトヨタ自動車と、世界シェア1位のタイヤメーカー、ブリヂストンです。
コロナ禍でますます関心が高まるヘルスケア分野ではオムロン。日用品を幅広く扱うトイレタリーの雄であり、化学品事業もある花王。
小売り系では、傘下に、日本一のコンビニチェーンであるセブン-イレブン、百貨店のそごう・西武、スーパーマーケットのイトーヨーカドー、外食のデニーズ、金融のセブン銀行を抱える、多角経営のセブン&アイ・ホールディングス。ユニークな経営で知られ、百貨店でありながらカード事業で収益を上げる丸井グループ。
食品系では、ビール、飲料、健康食品と幅広く事業展開をしているアサヒグループホールディングスです。
それぞれ成長分野の事業を持っており、財務が安定しています。事業のリスク分散がなされていたり、コロナ禍でも大きく事業が毀損することがなかったりした銘柄です。
どの銘柄も配当を実施しているため、仮に一時的に株価が下がっても、「配当がある」(配当収入のことをインカムゲインといいます)点も安心です。新興企業のように、一晩で10倍になったり大幅下落したりせず、需要が安定している「ディフェンシブ銘柄」も多く含まれています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、株価は一時的に大幅に下がりましたが、売られすぎた反動もあり、元の水準に戻しています。ただ、実体経済の回復はまだまだなので、世界各国の景気刺激策により、株価はこの先さらに値上がりが期待できる銘柄も多い状況です。
ESG投資の盛り上がりとコロナ禍というタイミングは、優良で安定した株に投資できるよい機会だと思います。
構成=奥田 由意 写真=iStock.com
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウオッチし続ける。投資家動向にも詳しい。日本経済新聞をはじめ、多様な媒体でコメントやリポートを発信。