「自己肯定感」というキーワードが注目されています。しかし、脳科学が専門の細田千尋さんは、「自己肯定感が高ければ良いというわけではない」と指摘。環境や他人の影響を受けない安定した自己肯定感と、周囲の変化によって不安定になる自己肯定感があると言います。その大きな違いはどこからくるのでしょうか——。
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自己肯定感が“社会的ワクチン”と言われるワケ

あなたは、自分が価値のある人間だと思いますか?

この質問に対して、欧米では9割程度の人が、自分に価値があると答えるのに対し、日本人では半数にも満たないことが示されています。

これは、「self-esteem(自己肯定感・自尊感情)」の低さを示しています。自己肯定感は「①自分が、どのような人間であるか正しく知って正しい自己認識のもと、②自分のことを価値のある人間だと思う」ことを指します。

自己肯定感の高さは、収入、健康、結婚状況、孤独感の少なさよりも、幸福感やwell-beingに強く関連する因子だと示す研究があります。また、人間関係、社会的成功、人格的成熟などさまざまなことに強く影響するものであることがしめされ、社会を適応的に生きるための“社会的ワクチン”とも言われています。ところが、自己肯定感が低いとされる日本人の中でも、女性は男性より少し自己肯定感が低いことが示されています。