心を病みやすい3大職業とは

仕事にメンタルの状態が大きな影響を与えるということは、40代の人なら皆さん納得してくれるでしょう。精神的に疲弊してしまえば、仕事の能率は落ち、いくら時間をかけても成果は上がらなくなってしまいます。

以前、心理学者の植木理恵さんと対談した際、「心の健康を保つためには、1人の人間が五つくらいのペルソナを持つことが大切」だと教えてくれました。ペルソナとは心理学では「自己の外的側面」として用いられますが、語源は古典劇に用いられた「仮面」です。ここでは「キャラ」と考えるとわかりやすいと思います。

つまり、「ビジネスパーソン」というキャラの他に、複数のキャラを持つべきだということです。

ある調査によると、心を病みやすい代表的な職業は「教師」「専業主婦」「宗教家」なのだそうです。どれも、「一つのキャラを演じ続けなければならない」という共通点があります。植木さんによれば、「専業主婦でも、子供にはお母さんというペルソナで接し、夫には妻、外に出かけたときは女になるほうが、心の健康を保てる」ということでした。

「会社以外のキャラ」を持ってみよう

ただ、「五つのペルソナ」となると、仕事と家庭だけでは足りません。

一番手っ取り早いのは「趣味」でしょう。スポーツや楽器など、なんでもいいので「仕事以外のペルソナ」を今すぐ作るべきです。その際、できれば一人でやるのではなく、コミュニティに参加するといいでしょう。例えば『釣りバカ日誌』のハマちゃんは、普段はうだつの上がらない人物ですが、釣りになると「社長の指南役の釣りの達人」というペルソナをまとうのです。

私も似た人を知っています。Aさんは卓越した技術を持つエンジニアなのですが、とにかく口数が少ない。なのに、趣味のカラオケの集まりでは、美声を披露するだけでなく、司会まで買って出て場を盛り上げる「カラオケマスター」というペルソナに豹変するのです。社長は「そのキャラの10分の1でいいから仕事で発揮してくれたら」とぼやいていますが、Aさんにとっては「カラオケマスター」というペルソナがあるからこそ、心の健康が保たれ、周囲からも一目置かれているのです。

さて、あなたには、いくつのペルソナがあるでしょうか。「会社員」「夫」「父」だけではまだ足りません。「ギタリスト」「ブロガー」「週末講師」「熱狂的なアイドルオタク」

なんでも結構です。ぜひ「五つのペルソナを持つ」ことを目指してほしいと思います。

ちなみに先ほどの元人事部長はゴルフが趣味だったのですが、10年ほど前に病気になり「ゴルファー」というペルソナを失ってしまったとのこと。そう考えると、ペルソナは多ければ多いほどいいでしょう。

「仕事以外の居場所作りは、仕事のためにも重要なのだ」。そう割り切って、ぜひ今から探してみてほしいと思います。