社内調整が少なく、お客様に集中できる
具体的に現場がどう動いていくかというと、まず機能によってチーム分けされます。たとえば、われわれのようにソフトウエアを作っている会社なら、ソフトウエアを開発するエンジニア、そのソフトウエアを売る営業、それを利用するお客様のコンサルタントといった機能に分けられます。そして、その機能に合わせてチーム編成がなされ、定期的な会議やミーティングで担当の業務を協議し、割り振られていくことになります。
こういうやり方が向いているのは、対お客様の仕事。そのお客様に対してサービスやサポートを行う仕事なら、自分の裁量が大きくなるため、より効率的に動けます。
特にITはテクノロジーの進化が激しいので、個人個人が能動的に情報を収集し、それをお客様に展開する。そういう動きが求められるので、変化が多く複雑なものを取り扱う業種は、より自立分散型という方法は向いているでしょうね。
私自身の経験を振り返っても、社内調整をあまりせずにすむので、非常に仕事がしやすかった。生産性も高かったと思います。
大手企業も動きだした
ただし自立分散型は、会社としても個人としても向き不向きがあります。
先程からお話ししている通り、このやり方は組織が向かっていく方向と現場を一致させるためのトップからの情報発信が重要ですから、人数が増えると難しくなります。当社で行っていたのも500人程度まででした。
数千人の大企業なら、その一部に自立分散型を取り入れることは可能です。今ならDX(デジタルトランスフォーメーション)やイノベーションのための組織ができ始めているので、そういった一部の組織を、立ち上げ時から自立分散型にするというやり方です。
日本企業の中でも、大手のIT企業やメーカーなどが、そういう部署を作り始めています。チームにイノベーション人材を入れて、変革を起こしていこうというときに、自立分散型は有効に働く可能性が大きい。
そう考えると、今後は必要に応じて「一社二制度」を進めていくかたちが増えるだろうと感じます。