自律分散型に向かない人

個人から見た場合、自発的に動くよりも指示に従って仕事をするほうが得意な人には自律分散型は向きません。会社としては、自社で集めている人材が、自立分散型に向いているかどうかということがとても重要です。本当に自立分散型で進めるなら、採用時から自立分散型であるというメッセージを出しておかなければいけませんし、そのためには自社でやろうとしているミッション、ビジョンが強固でなければいけません。そういった姿勢を表に出せば、その会社に新しく入る人との齟齬そごも減っていきます。

先日、当社の一部で、数百名規模の適性検査を行いました。27種類の性格因子が出る検査で、例えば独立性が高く他の人と離れて仕事をするのが得意、あるいは独立性が低く、他の人とコミュニケーションをとりながら仕事をするのが得意、といった性格特性がわかるようになっています。やはり独立性が高いと、在宅勤務のパフォーマンスが上がるし、独立性が低いと他の人とウェブ会議でつながったまま仕事をしたり、出社したりしたほうが能率が上がります。これからはそういった特性をしっかり見極めていくことがより重要になってきます。

一方で自立分散型の会社に魅力を感じて転職を検討している人は、その会社が掲げているミッションやビジョンに共感できることが非常に重要です。

日本だと就職より就社。その会社に入っていくかたちが多いので、なおさらその会社が自ら掲げたミッションやビジョンを実現しているのか、その見極めが自身の働きがいにつながってきます。

さらにその会社に入ったら、オープンマインドやオープンコミュニケーションといった心がけも重要になってきます。

つまり自分が個別にお客様に対応していくと、その中で知恵や工夫が生まれますが、それを自分一人で抱え込まずに、オープンマインドやオープンコミュニケーションによって、他の人に展開していく。それによって他の人も強くなり、組織が強くなっていく。そういったことをお互いにし合えるかどうか、ということも考えてみてほしいところです。

会社としても、それを称賛する制度や評価にしていくことが、自立分散型の成功の秘訣になります。

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伊藤 秀也(いとう・ひでや)
Works Human Intelligence 経営企画 Div.

2001年、ワークスアプリケーションズ入社。コンサルタント、HR製品の開発責任者を経て、1100社を超えるユーザー会の企画運営を務める。現在は、Works Human Intelligenceの経営企画部門責任者として、経営戦略の立案・企業文化の醸成・組織改革等、幅広く手がけており、年間100名以上の経営者・人事との面談実績を持つ。