在宅勤務や分断勤務など柔軟な働き方を認める会社が増えている中、より個人の働きやすさを追求する組織として注目されているのが「自立分散型組織」。現場への権限移譲で業務はどこまでうまく回していけるのか、大手法人1100社の人事部門とネットワークを持つWorks Human Intelligenceの伊藤秀也さんに伺いました。
ビジネスの成功を祝う多民族ビジネスの人々のグループ
※写真はイメージです(写真=iStock.com/recep-bg)

社員500人で役職者ゼロ

「自立分散型組織」とは、会社全体で目的やミッションを共有したうえで、現場が自立的に判断する、いわゆるティール型やホラクラシー型といわれる組織の総称です。

中央の意思決定機関が存在せず、権限と責任は現場に委譲されているという意味では、変化に強く、このコロナ禍でも注目が集まっています。

トライアルされているベンチャー企業も多く、実はわれわれの会社の前身であるワークスアプリケーションズでも、500人ぐらいの規模になるまでは役職が全くない自立分散型でやっていました。

自立分散型をすすめるにあたり、まず重要なのは、その集団が何を目的に組織されて、何を目指してやっているかということが社員全員に共有されること。つまり集団のミッションやビジョン、目標を社員に浸透させるということです。

当社の場合、私が入社した頃は「日本の大手企業の情報投資効率を最大化する」というミッションが、社員の誰に聞いても金太郎あめのように言えるほど、全員がそれを理解していました。

なおかつ自社の強みと全体の方向性を理解したうえで、現場は目標に向かう最速の方法を考えて実行していくという形で運用されていました。