入社後4年間は「圧倒的に孤独だった」

とはいえ、黒須さんにとっては初めての通販事業。わからないことだらけの上、広告代理店などのパートナー探しも苦戦続きで、田舎の会社だからとナメられるような悔しい経験もしたそう。入社してからcottaが成功するまでの4年間は「悔しい思いばかりしていたし、圧倒的に孤独でした」と振り返る。

cottaのトップページ。大々的にCMも流し、認知度を上げている。
cottaのトップページ。大々的にCMも流し、認知度を上げている。

当時、東京にいた社員は黒須さんただ1人。cottaの売り上げを伸ばそうとがむしゃらに頑張っていたにもかかわらず、「社長の若い娘が入ってきて好き放題やっている」と見るベテラン社員もいた。しかも、父親からは「誰が見てもわかるような成果が出るまで特別扱いはしない」とはっきり言われ、給料もずっと高卒初任給と同じだった。

そんな中でも、入社2年目からは徐々に売り上げが伸び始め、4年目にはcottaの好調によって会社が上場。社内でも主力事業として受け止められるようになり、「綾希子さん頑張ってるね」という声も上がるようになった。ようやく皆に認められたという実感が湧き、それが成果を出せたこと以上にうれしかったという。

急成長につながった「モーレツ営業」

黒須さんは、未経験の分野でなぜこれほどの業績を上げられたのだろうか。その秘訣を尋ねると、決め手になった二つの要因を教えてくれた。

ひとつは、前職の“モーレツ営業”で身につけた力だ。顧客との交渉術や予算配分術、狙った相手の懐へ飛び込んでいく胆力、いいと思ったことは全部やる行動力──。この力は、パートナー企業や扱う商品の新規開拓に大きく役立った。

もうひとつは、インフルエンサーの活用に力を注いだこと。黒須さんは、当時まだ無名だったcottaを人気サイトに押し上げようと、パンやお菓子づくりのカリスマブロガー100人以上に猛アタック。自社のファンになってもらえるよう働きかけ、cottaの魅力を発信してもらうことに成功した。また、サイトへの有名シェフの出演も実現。無名かつ人脈ゼロという壁を、熱意と行動力で打ち破った。

「会社が無名だったので、直接お話ししてこちらの熱意を伝えるしかないと思って、とにかくアタックしまくっていました(笑)。知識が足りない分は行動量でカバーしようと、それこそ体当たりの営業を続けていましたね」