「安定したフリーランス」になれる人の条件

ただし、誰もが安定した収入を確保し、自由度の高い働き方ができるわけではない。前出のMEJの場合、これまでの実績を基に「このぐらいでやってきましたという金額をそのままお支払いし、額としては市場価値より上乗せされている」(古賀社長)と言うように、会社と本人が対等に交渉して報酬を決定。仕事の内容も双方が納得した上で契約するというウィン・ウィンの関係にある。

つまり、企業ニーズの高い専門性と過去の実績を兼ね備えている人は活躍の道が開かれているが、逆に専門性が低く、実績がない人は企業との交渉力が弱く、結果的に低い処遇と自由度の低い働き方に甘んじることになりかねない。

実際に前出のアメリカのアップワーク社の調査でも、半数が高度の専門スキルを持つ人であるが、一方、専門スキルを必要としないライドシェアリング、犬の散歩、個人タスクなどで働く人やeBay(在宅でのネット出品販売)、Airbnb(宿泊仲介サイトで空き部屋を提供)などが約半分。この中にはネット上で単発の仕事を請け負うギグワーカーやプラットフォームワーカーも多い。また、フリーランスの不安事項の上位には「手頃な価格でヘルスケアを受けられるかどうか」「預金」「退職金」「公平な支払い」が挙がっている。

年収は200万円台が最多という現実

日本でも前出の内閣官房の実態調査によると、ギグワーカーも含まれる「仕事の獲得手段として仲介事業者を活用」している人が21.5%を占め、「利用している仲介事業者数」が1社という人が46.8%。また、収入も本業として行うフリーランスの年収は200万円以上300万円未満が19%と最も多く、決して高いとはいえない水準にある。

しかも今回のコロナ禍でフリーランスのセーフティネットの脆弱性も浮き彫りになった。政府の「成長戦略実行計画」でもフリーランスへの発注のキャンセルが発生しても、契約書面が交わされていないために仕事がキャンセルになったことを証明できないなどの問題点も指摘している。

もちろん仕事がなくなっても社員のように失業給付が出ることはない。そのほか、①労災保険による休業補償給付、療養補償給付がない、②健康保険による傷病手当金が支給されない、③女性の場合、産前産後の出産手当金と育児休業期間中の育児休業給付金が支給されない、④厚生年金に加入できないために老後の公的年金支給額が低い――といった正社員との違いもある。

正社員と同じにせよ、とは言わないが、フリーランスを選択した人が安心してスキルを磨き、活躍できるようにするには最低限のセーフティネットの整備も不可欠だろう。