「イクメン=未就学児童の父親」に潜む盲点

共働き家庭は増えてはいますが、その大半は依然として夫が大黒柱であり、妻は育児のために時短勤務というケースも珍しくありません。フルタイム勤務の場合でも、保護者会のための有給は女性のほうが職場に理解してもらいやすいという現状もあります。

また、最近は男性の育児参加が推進されていますが、ここでいう育児は主に未就学児童の親を想定したもの。皆さんも、イクメンといえば乳幼児や保育園・幼稚園児の父親というイメージがあるのではないでしょうか。

実際は、子育ては幼稚園を卒業したら終わりではなく、その後もずっと続きます。保護者会は中学や高校でも続きますし、最近では大学でも行っているぐらいです。そう考えると、本当の意味で男性の育児参加を推進するのなら、幼稚園までではなく小学生以降にも目を向けるべきだと思います。

男の沽券に関わるから行きたくないのではない

ひと昔前に比べると、家事育児をすることに抵抗感を持つ男性はかなり減りました。スーパーで買い物をしたり、子どもの送り迎えをしたりする時に「男の沽券に関わる」と考えるような男性はあまりいないでしょう。

同じように、保護者会やPTAに対して「沽券に関わるから行きたくない」という男性も少ないはずです。なのになぜ、フルタイム共働きでも妻が出席する家庭がほとんどなのか。結局のところ、「面倒なことは妻に任せる」という昔ながらの体質が変わっていないからではないでしょうか。

子どもの学校の用事は、必要だとはわかっていても正直面倒なものです。そのために有給を申請し、上司に理由を説明するのもまた面倒な作業のひとつ。できれば自分ではやりたくない、妻に任せたい──世の夫たちがそう考えるのも無理はありません。

しかし、夫にとって面倒なことは妻にとっても面倒なのです。面倒さのレベルも子育てへの責任もまったく同じなのに、出席役が妻だけに押しつけられているとしたら、これは性別を理由とした不平等にほかなりません。「男は仕事、女は家庭」だった頃の古い慣習を引きずったものと言えるでしょう。

また、現状では小学校の保護者会やPTAは女性ばかりですから、夫にとってはいわばアウェイの場。実際、「夫に出席を促してみたら女性ばかりだから行きたくないと言われた」という話も聞きます。