フルタイム共働き家庭もイクメンも増えているはずなのに、学校の保護者会やPTAの集まりに出席すると、なぜか周りは母親ばかり。どうして男性がいないのか、行ってもらうにはどうしたらいいのか──。出席したがらない夫たちの心理を、男性学の第一人者・田中俊之先生が解説します。
学校式会場
※写真はイメージです(写真=iStock.com/maruco)

「なぜ私だけが」と不満を感じる人も

子どもが小学生以上になると、親は保護者会やPTAといった集まりにたびたび出席しなければなりません。平日の午後に開催されることも多いため、フルタイム共働き家庭では、夫婦のどちらかが仕事を休んで出席することになります。

普通に考えれば、その日に比較的仕事の空いているほうが休むというのが妥当でしょう。ところが、実際には保護者会の出席者はほとんどが女性。PTAも会長だけが男性で、ほかは全員女性というケースが少なくないと聞きます。男性の育児参加が叫ばれている中で、なぜいまだにこうした状態が続いているのでしょうか。

ひとつには、夫は会社員で妻は専業主婦やパートという家庭が今も多いですし、その夫婦の組み合わせがベースとなってできた慣習が根強く存在していることが考えられます。この場合、夫が保護者会に出席するには有給をとらなければなりませんが、妻のほうは比較的時間の自由がききやすい立場。こうした家庭では、特に夫婦で話し合うこともなく、妻が出席するのが当たり前になっているのではと思います。

その「当たり前」にお互い不満がなければいいのですが、問題は不満があるのに話し合いをしないままでいる場合。特に夫婦ともにフルタイムで平日は会社だと、妻のほうに「なぜ私だけが」という思いが生まれてしまいがちです。