じわじわ評価が上がっていく内向的な働き者

逆に、神経質で、あまり他のメンバーと口をきかないような人のほうが、評価が高くなることが明らかにされたのです。いったい、これはどういうことなのでしょうか。

ベンダースキーが調べてみると、真相はこうでした。

お調子者で、外向的な人は、たしかに最初のうちは人気が出ます。しかし、グループで課題に取り組んでいると、外向的な人は、口では偉そうなことを言いながら、思ったほどグループに貢献してくれないことが、少しずつバレていくのです。

逆に、神経質な人は、寡黙であまりメンバーと話したりはしませんが、コツコツと努力してくれて、思った以上にグループに貢献してくれることがわかってくるので、グループ内での評価は上がるのです。

寡黙な人は、たしかに初対面のときには、あまりよい印象を与えないかもしれません。しかし、それでも2カ月、3カ月が経つ頃には、他の人にも、「あの人って、黙々とよく頑張ってるよな」ということは認知されていきます。わざわざ自分で、自分のことをアピールしようとしなくとも、必ず、だれかが見ていてくれるのです。むしろ、そのほうが評価は高くなったりします。

自己アピールなどは控えめにして、そのぶん、行動で示したいものです。頑張って仕事をしていれば、余計なアピールなどしなくとも、周囲の人にはちゃんと伝わりますから、心配はいらないのです。

(参考)
Blackman, M. C., & Stubbs, E. C. 2001 Apologies: Genuine admissions of blameworthiness or scripted, sympathetic responses? Psychological Reports ,88, 45-50.
Bendersky, C., & Shah, N. P. 2013 The downfall of extraverts and rise of neurotics: The dynamic process of status allocation in task groups. Academy of Management Journal ,56, 387-406.

写真=iStock.com

内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者

慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる!暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。