3、4カ月でTOEIC®が300点以上アップした生徒

印象に残っている生徒さんの一人で、大手銀行にお勤めの女性がいらっしゃいました。その方はずいぶん長いこと、ネイティブの英会話学校に通っていらしたんですが、全然伸びない。イーオンにいらしたときは、TOEIC®のスコアが400点ぐらいでした。でも会社の上司からは、1年以内に730点とるように命じられていたようです。ならば日本人の先生がいいんじゃないかというカウンセラーのアドバイスもあって、私が受け持つことになりました。

いざ彼女とのプライベートレッスンが始まってみると、本当に質問が多い。細かいニュアンスがわからなくて、これはどうですか、あれはどうなるんですか、とレッスン中は質問の嵐。おそらくネイティブの先生には、ここまで質問できなかったんでしょうね。

あやふやだった基礎的な文法はすべて日本語で理解し、いちから積み上げていくことで、彼女の英語力はぐんぐん伸びていきました。

レッスンでは細かいニュアンスを説明し、会話を練習し、自宅では『CNN ENGLISH EXPRESS』をやってもらいました。シャドーイングやオーバーラッピングなど速さについていく練習をしてもらうためです。

そうすると、なんと3、4カ月でTOEIC®のスコアが730点を超えたんです。

やはり細かいニュアンスは、日本語で説明されないと、わからないままなんですね。ネイティブの先生に聞いてわかるなら、それはすでに高いレベルに達しているということ。そこまでいかないなら、まずは日本人の先生から教わるほうがいい。

とにかく英語の上達には、わからないことはわからないままにしない。その大切さを私も改めて彼女から教わりました。

英語学習と人生の意外な共通点

ここ最近は新型コロナウイルス問題で、レッスンはオンラインのときもありました。やはり対面のレッスンがベストですが、英語学習は毎日続けることが重要なので、オンラインでも続けていくことは大事でしょうね。

対面でもオンラインでも、生徒さんはお金や時間を投資してレッスンを受けてくださるわけですから、私としても何かしら“益”を持ち帰っていただきたい。生徒さんに「これだけはできた」という達成感を得ていただくことを目標にしています。

それがその方にとっては、単語や文法の理解かもしれないし、英語を話せるようになったことの喜びかもしれない。なにかしらつかめるものがあって、願わくはその人のモチベーションを上げることができれば、講師としては本望です。

私は今70歳ですが、このままずっと教えていたいですね。やはり、こうやって自分が社会に参加してバリバリ働けることに、生きがいもやりがいも感じますし、本当に幸せを感じます。

どんな仕事も大変なことはつきものですが、私はなるべくポジティブな面を見るようにしています。ネガティブな面も見ようと思えば、いくらでも見られます。でも自分のできないことを見るより、できたことや今できていることなど積極的な面を見て、喜ぶほうがずっといいですよね。ここまでできた、もうちょっとできるかも、って前向きになれる。

それは英語の学習でも人生でも同じことだと思います。

日高 由記(ひだか・ゆき)
英会話イーオン 非常勤講師

1950年生まれ。大学を出たあと、20代から20年以上専業主婦として過ごし、40代半ばから英語を本格的に学び始める。2001年、51歳で英検1級、03年、53歳で通訳案内士の資格を取得。フリーの通訳案内士や専門学校の講師として活躍。06年、56歳の頃から英会話イーオン勤務。現在は吉祥寺校、高田馬場校にて週6日勤務している。