通訳案内士の仕事で冷や汗ものの失敗も

英語が上達してくると、だんだん欲が出てきて、これを仕事にしたい、教えてみたいと思うようになりました。あきらめていた仕事ができるかもしれないって。まずは経験を積むためにボランティアで通訳案内士を始めました。そうこうするうちに英検1級、通訳案内士の資格がとれたので、本格的に通訳案内士の仕事をフリーランスでスタートさせました。

日高由記さん
撮影=プレジデント ウーマン編集部

通訳案内士の仕事を始めたころは、失敗の連続。今でも思い出すのは、アフリカの人たちが日本にプラントの見学にいらしたときのこと。私が通訳で入っていたわけですが、アフリカ人の一人の方が、何かぼそぼそと質問したんです。それを私は聞き取れず、「どうしよう」と頭が真っ白になってしまった。結局、そこはスルーして進めてしまったんです。

でも、あのとき私は「あなたの言っていることがよく聞こえませんでした。質問は何ですか?」と、もう一度聞けばよかったんです。でもそのときは、そんなことすら思いつかないほど余裕がありませんでした。

だから今、生徒さんたちには「聞こえなかったときは、もう一度聞いてくださいね」と何度もお話ししているんです。

56歳から月~金は英語講師、日曜は通訳案内士という生活

通訳案内士の仕事と並行して、通訳案内士の学校でも教え始めました。ただ受け持っていたのは、英語のほかに、受験科目である日本地理、日本歴史、一般常識。ぜいたくな話ですが、私としては英語だけを教えたかった。そんなときに、たまたまガイド仲間のひとりが、英会話イーオンの講師をしていて、私にもすすめてくれたんです。

とはいえ、そのときの私は56歳。「いくらなんでも無理なんじゃない?」と友人に言っても、友人は「大丈夫、大丈夫」とこたえます。難しいだろうなと思いながらダメ元で応募してみたら、なんと合格。そこから月曜日から土曜日までは、英会話イーオンで英語講師、ガイドがある日曜日は通訳案内士という生活が始まりました。

英会話イーオンで教えている生徒さんは、小さなお子さんから大人まで。最高齢は76歳の方です。たいていは自分でやりたいと思っておいでになるので、みなさんやる気があります。ですから、こちらとしても教えがいがありますね。