コロナ前から一部解禁されていたオンライン診療
実はコロナ禍の前、2年ほど前から一部のケースにおいて保険診療におけるオンライン診療は解禁されていました。この時には、初診は対面で診察を受ける、服薬指導は薬剤師から直接受ける、オンライン診療を行う医師は厚生労働省が定める研修を受けなくてはならない、などのルールがありました。しかしコロナ禍の特別措置で、これらのルールが急遽大幅に緩和されたのです。
オンライン診療や電話診療は、すべての医療機関が対応しているわけではなく、導入するかしないかはそれぞれの医療機関の判断に任されています。医療機関側も、患者から必要な情報が得られないままでは診察できませんから、大々的に推進しているところはそれほど多くはなく、実施しているところも、再診で病状が安定している患者のみを対象にしたりしているようです。
活用はこんな場合に限定を
オンラインや電話での受診は、特にこうしたコロナ禍のような状況だと、上手に活用すればよい仕組みではあると思います。しかし、利用はできるだけ限定的にした方がよいでしょう。一部の疾患を除き、初めて症状が出た場合や、検査が必要なものは向きません。正しく診断されず、不適切な薬を処方されて悔やむのは患者です。
もし私がオンラインや電話で診断を受けるのならば、以前もかかったことがあり、自分の普段の健康状態をよく知る医師を選びます。また、慢性疾患で経過が長期間落ち着いている場合に、再診で薬を処方してもらう時に限定するとよいでしょう。花粉症やアレルギー性鼻炎などで通院していて、抗アレルギー剤を処方してもらう場合や、禁煙外来で補助薬を出してもらう場合などが考えられます。信頼できる医者やかかりつけ医に「自分の病状はオンライン診療や電話診療でも大丈夫か」と、聞いてみるといいと思います。
高血圧や糖尿病などで服薬治療をしている人は、オンラインや電話診療が可能か、主治医に相談してみるとよいでしょう。「血圧がこのレベルで、こんな症状がなければオンラインや電話でいいです」など、症状の変化の目安を教えてもらっておくと安心です。
オンラインや電話診療を受ける場合は、自分の体調や症状についてできるだけ詳しく医師に伝えるようにします。「次は採血検査しましょう」などと受診をすすめられたら、きちんと病院に行くようにしてください。
コロナはオンラインや電話で診断できない
発熱や頭痛、咳など風邪のような症状が出た場合、オンラインや電話で診察を受けたいと思う人がいるかもしれませんが、こうした症状の場合はオンラインや電話診療は決して得策とは言えません。新型コロナの可能性があるからです。