「病院受診が怖い」という不安

新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以降、COMLで受けた相談の内容では、「家族が入院しているが面会できない。どんなケアを受けているのか心配」「高齢の親が入院しているが、会えないことで認知症が進むのではないか」といった、会えないことに対する不安が特に目立ちました。

次に多かったのは受診控えでした。ただ新型コロナウイルスを恐れて「病院に行ったらうつるんじゃないか」「病院から感染者が出たので近寄りたくない」といった声が多く聞かれました。本当は受診が必要な症状にもかかわらず、受診を控えたために症状が悪化してしまったのではないかとみられるケースもありました。

ただ、新型コロナへの感染が不安だといっても、マスクをして黙って待合室に座っているだけで感染することは考えにくい。また、医療機関も、患者や医療者への感染を予防するために、ものすごく気をつかっています。もし感染者が出ても、ゾーニングして汚染区域と清潔区域を分けて運用するなどしますし、感染対策は徹底しています。

私が受ける電話相談でも、あまりにも受診控えしている人には、病院でも手洗いやマスクの着用などを徹底し、待合室でもほかの人と離れて座るなどの対策をしながら受診するよう勧めます。それでも不安な場合は、医療機関に電話して、どんな感染対策をしているか直接確認してみることをすすめています。

コロナで規制が大幅に緩和

実はコロナ禍の特例措置として、病院に行かなくても自宅にいながらにして、パソコンやスマートフォンを使って診察を受けることができる「オンライン診療」「電話診療」の規制が大幅に緩和されました。一度も行ったことがない医療機関で、初診であってもオンライン診療や電話診療を受けることが可能になり、処方も受けられるようになりました。また、オンラインや電話での診療をもとに出た処方箋を薬局に送ってもらい、薬局から自宅に薬を配送してもらうこともできるようになりました。

「外出自粛を」「できるだけ対面ではなくオンラインに」と言われていますから、「オンライン診療や電話診療ができるようになった」と聞くと、とても良いことのようにとらえて飛びつきたくなるかもしれません。

しかし、私はオンライン診療の拙速な対象拡大には不安を覚えています。

良い診療のカギは、患者から医師などの医療者に、どれだけ必要な情報を伝えられるか。ところが現状、オンラインから得られる情報というのはかなり限られています。部屋の照明によっても顔色が違って見えてしまうでしょう。触診や胸の音を聞いてもらうこともできない、血液検査もできないわけです。患者のにおいをかぐことも大事と言う医師もいます。医師は、患者が診察室に入ってきた時の歩き方や所作なども含め、五感をフルに働かせて診察するものなのです。

また、例えば皮膚科を想像してみてください。肌の赤みや腫れの具合、質感、乾燥の度合いや熱を持っているかどうか、など、パソコンやスマホのカメラや画面越しに、どれだけ伝わるでしょうか。耳鼻咽喉科だと、喉の奥の方や耳の奥の方まで診察しないと正しい診察はできません。