日本人の親による「子どもの連れ去り」に欧州議会が抗議
筆者の住むベルギーには、欧州連合(EU)の主要機関が集中している。その一つ、欧州議会は7月初め、日本人の親による「子どもの連れ去り」是正を求める決議を圧倒的賛成多数(賛成686、反対・棄権9)で採択した。
といわれても、なんのことやらさっぱりわからないという人もいるだろう。母親が子連れで家出したり、実家に帰ってしまったりすることは、日本では「よくあること」かもしれない。
ところが、EU市民を代表する欧州議会が抗議しているように、世界の多くの国では、それは子どもの「拉致・誘拐」と見なされ、「子どもの最善の利益」の観点から到底許されない。日本の状況は、「外国人が増えて国際結婚が珍しくない今となっても、家族のあり方や子どもの権利に関する制度や社会通念は、旧態依然で看過しがたい」とみなされているのだ。欧州議会での決議は、そうした見方を象徴しているといえるだろう。